36歳女性「おばあちゃん」と呼ばれ幸せを感じる訳 17歳上の事実婚パートナーは「ガツガツ系」

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主人は運動と仕事で体力づくりと健康管理を徹底しているので、しばらくは介護の心配もありません。私はこれからが働き盛り。こんなにラッキーなことはない、と考えられるようになったのも明るい主人の影響です」

中学生時代から母親の世話をする「大人」にならざるをえなかった真央さん。周囲からも「落ち着いている」と称されることが多い。しかし、たまには自分も甘えたい気持ちはある。その点では学生時代から8年間も付き合った末に別れた同級生は幼く頼りなく見えたのかもしれない。

「彼が結婚して子どもが欲しいと言ったのも別れた理由の1つです。私は子どもを持ちたくありませんでした。自分の人生を母に費やしてきたので、とにかく自分のために時間とお金を使いたかったからです。思いついたときに買い物や料理をするとか、好きなだけ長風呂するとか、そんなことをしてみたかったのです。小さな子どもがいたらそうはいきませんよね」

「まるで逆」な性格も新鮮でうれしい

神経質で食べ物の好き嫌いもあるという真央さん。明夫さんは「まるで逆」な性格をしているらしい。部屋の中の小さな汚れも気になる真央さんに対して「これぐらいのホコリは何でもない」と断言し、苦手な食材も「とにかく食べてみろ」と優しく命令。真央さんはそれが新鮮でうれしい。

「元気だった頃の父の面影を主人に見ているのかもしれません。父も『小さなことにはこだわるな。でも、やるときはしっかりやりなさい』とよく言っていました」

職場で定期的に異動がある明夫さん。体力には自信があるとはいえ、53歳では若者と同じように現場で働くのは年々厳しくなると感じている。次の異動が決まった時点で早期退職をし、自営になって同じような仕事をマイペースに請け負う予定だ。勤務先への結婚報告などの必要もなくなるので、その時点で真央さんとの婚姻届を提出すると明夫さんは宣言している。

「主人ならば必ず約束を守ると思いますが、正直言って私は籍を入れても入れなくても構いません。(法律上の)結婚のメリットとしては、前の奥さんに対して『一応、私が嫁なんですが! ちょっと遠慮してください』と堂々と言えるぐらいでしょうか(笑)。とにかく主人と一緒に暮らせていることに今は満足しています。半同棲のときとは違って、何でも遠慮なく言い合えるようになりました。会話が弾むときも弾まないときもあります。これが家庭なんだと思えるんです」

真央さんは長く苦しい青春時代を送って来た。両親の享年はそれぞれ60歳と65歳。自分がその年齢になる頃、明夫さんは傘寿を迎えている。

「両親を失くしたときのように、いつか彼を看取るときが来るという恐怖がときどき頭をよぎります。きょうだいもなく、いとことの付き合いもない中で、自分1人がこの世に取り残されるのだろうか、という不安です」

それでも真央さんは今を楽しんでいる。この先も明夫さんと一緒にいるという気持ちは交際当初から変わらない。20年後、30年後のことはそのときになってから考えればいいのだ。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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