「毎日のように営業に行く私に主人が率先して商品を買ってくれました。私がお酒好きなのを知ってからは、珍しい日本酒やワインをプレゼントしてくれたり。でも、主人はヤクザみたいな外見のイカツイ肉体派で、女性にも積極的です。私は爽やかで穏やかな男性がタイプなのですが……。
最初はガツガツとしつこいなと思っていたのですが、私は優しくされるとついほれちゃう性格です。3回目に食事に行った後に『オレを彼氏だと思ってくれていい』と言われて交際が始まりました」
明夫さんは2回の離婚を経験
現場関連の仕事をしている明夫さんは過去2回の離婚を経験している。1回目の結婚で生まれた息子はすでに30歳を超えていて、2人の子どもがいる。明夫さんにとっては孫たちだ。2回目は水商売の女性と結ばれたが相手の浮気で別れた。しかし、その前妻は離婚後も何かにつけて明夫さんを頼り、来るもの拒まずの明夫さんはそのたびに前妻と会って面倒をみてあげている。
「もちろん、私は面白くありません。でも、主人は束縛されることが嫌いなので、あまりうるさく言うと家を出ていきそうな雰囲気があります。主人を独占したい内心を抑えて、受け入れるしかないのかなと思っています。けじめはつけてもらいますけど……」
真央さんの家で一緒に暮らし始めてからは明夫さんと前妻が会う回数は「年に数回程度」に減ったようだ。それでも明夫さんは前妻と交流を断つ気はなく、むしろ真央さんと会わせたがっている。みんな仲よく、というわけだ。
一方の真央さんも法律婚へのこだわりがない。苗字は明夫さんが「澤田」になってもいいと言ってくれているが、相続を考えると少し迷いがあるのだ。真央さんの父親はかなりの財産を遺してくれた。もし明夫さんよりも先に自分が死んだら、明夫さんを経て彼の息子がその財産を手にすることになる。
その息子夫婦は年が近い真央さんにこだわりなく接してくれている。相続を視野に入れているわけではなさそうだ。
「子どもたちに私のことを『おばあちゃんだよ。ババって呼びなさい』と教えてくれたりします。そう言ってくれると血がつながっていない私も大切な息子と孫だと思えるようになりました。若い頃は母親の介護で明け暮れましたが、結婚してみたら息子だけでなく孫までできたんです。人生がギュッと凝縮して、36歳にしてある意味では余生を過ごしています。
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