「女性だけでなく全顧客を軽蔑」した発言の真意 資本論で解く「売れさえすれば何でもいい」心理
真の問題はどこにあるのか
著名なマーケターであり、牛丼チェーン大手、吉野家の常務でもあった伊東正明氏が、早稲田大学の社会人向け講座で「生娘シャブ漬け戦略」などと発言したことが問題視され、大きな騒動となったことは、記憶に新しいことと思います。同氏は吉野家の取締役から解任、早大の講座からも降板という処分を受けることとなりました。
伊東氏の発言に対する批判の多くが、その女性差別的な側面に集まっています。例えば、小島慶子氏は次のような文章をあるウェブサイトに寄せています。
「今回の発言をした伊東正明氏は、かつてP&Gでブランドマネージャーを務め、欧米やシンガポールでグローバル市場の開拓戦略を手がけた経歴の持ち主だそうです。マーケティング業界ではよく知られた人物であると報じられています。P&Gは、ジェンダーや人種のバイアスをなくそうと訴える優れた広告で、国際的な広告賞も受賞しているグローバル企業。長年にわたってダイバーシティーやジェンダー平等の推進に取り組み、女性幹部が多いことでも知られています。伊東氏がそのような企業風土の中で長く過ごしたにもかかわらず、今回のような発言が出たことに衝撃を受けました」
もちろん、この問題発言が性差別的な性格を持っておりそれが大問題であることは確かでしょう。しかしながら、批判がその次元にとどまるならば、真の問題は見過ごされます。実は、マルクス『資本論』を読むと、なぜこうした発言が出てきたのか、そして何が真の問題であるかが理解できるのです。
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