小学校3年生までの算数、意外なつまずきどころ ミリとキロ、あまりのある割り算、何番と何番目

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1年生で習う算数の意外なつまずきどころとして、「何番と何番目」があります。「そんな単元、1年生にあった?」と思われる方もいるかもしれませんが、どの教科書でもしっかり学ぶ単元です。

「何番と何番目」は、具体的には、次のような問題です。

例題:前から順に、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんが並んでいます。このとき、次の問題に答えましょう。

(1)前から3人は誰ですか。

(2)前から3人目は誰ですか。

(1)から解きましょう。「前から3人」なので、「Aさん、Bさん、Cさん」が答えです。(2)は、前から3人「目」なので、「Cさん」が答えです。

「前から~人」なら、~人全員を含みます。一方、「前から~人目」なら1人だけを表します。この違いをおさえることがポイントなのですが、これを混同してしまう生徒は少なくありません。

理解していないと他の教科でも困ることに

「~人」と「~人目」の違いということで、国語的な要素も入った問題とも言えますが、これを理解していないと、他の教科で困ることがあります。

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例えば、体育の授業で、「前から3人、座ってください」と「前から3人目の人、座ってください」では意味が違います。この違いを理解していないと、生徒自身が困ってしまうことになりかねません。お子さんができるだけ早い段階で「何番と何番目」の違いを理解しておくことをおすすめします。

算数は積み重ねの科目なので、どこかでつまずくと、その先がわからなくなることがあります。わからないことが増えてくると、やがて、算数が苦手に、そして、嫌いになってしまう可能性さえあります。

逆に、つまずきを回避し、わかることをどんどん増やしていくと、算数が得意になってきます。そして、「得意」から「好き」に変わっていくことが多いのです。

小杉 拓也 東大卒算数・数学プロ講師、志進ゼミナール塾長

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こすぎ たくや / Takuya Kosugi

東大卒算数・数学プロ講師、志進ゼミナール塾長。東大在学時から、プロ家庭教師、SAPIXグループの個別指導塾などで指導経験を積み、常にキャンセル待ちの人気講師として活躍。現在は、自身で立ち上げた中学・高校受験の個別指導塾「志進ゼミナール」で生徒の指導を行う。毎年難関校に合格者を輩出。指導教科は小学校と中学校の全科目で、暗算法の開発や研究にも力を入れている。数学が苦手な生徒の偏差値を18上げて、難関高校(偏差値60台)に合格させるなど、成績を飛躍的に伸ばす手腕に定評がある。おもな著書に、『小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本』や、『中学校3年間の数学が1冊でしっかりわかる本』(ともにかんき出版)などがある。
 

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