電力危機に陥る日本「原発再稼働」の議論が必要だ このままでは今年冬に大規模な停電のリスク

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足元の電力需給の状況は極めて厳しい。直前に福島県沖を震源とする地震の影響があったとはいえ、春に電力が逼迫しているのは異常事態だ。エアコンの使用が増える夏も厳しいが、最も危機的なのはこの冬だ。東電管内で10年に一度の厳しい寒さを想定した場合の電力供給は来年1月にマイナス1.7%、2月にマイナス1.5%と予測されている。このままでは大規模な停電が起こる可能性がある。

2012年にブラックアウトのリスクがあったのは関西電力管内のみだったが、今年、特に冬は東京電力、関西電力、九州電力の管内で電力不足のおそれがある。各地で火力発電の復旧を急ぎ、増加する再生エネルギーに対応した設備を増強したとしても安定的な電力確保はままならない。客観的に見て現下の電力需給の環境は2012年以上に厳しい。

原子力規制委員会の頭越しに再稼働はできない

再稼働について問題を提起しようと考えたのは、私自身がかつて原子力規制委員会を設立する法案の担当閣僚であり、5人の原子力規制委員を選定した組織の生みの親だからだ。

原発の再稼働の是非を判断する権限は原子力規制委員会にある。原子力規制委員会の頭越しに政府が再稼働を決めることは法律上できない。原子炉等規制法で「原子力規制委員会の確認を受けた後でなければ、その発電用原子炉施設を使用してはならない」、すなわち再稼働することはできないと規定されている。

原子力規制委員会は、権限行使について上部機関から指揮監督を受けず権限を行使するいわゆる『三条委員会』だ。大臣や総理であっても原子力規制委員会に指示監督する権限はない。しかし、政府は何もできないのかと言えばそうではない。

行政組織法には「その機関の任務を遂行するため政策について行政機関相互の調整を図る必要があると認めるときは(中略)当該関係行政機関に意見を述べることができる」とある。この意見は原子力規制委員会を拘束するものではないが、例えば資源エネルギー庁が電力の安定供給という重大な政策を実行するために行う意見は、政治的に重大な意味を持つ。

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