「原発の闇」を利用した関西電力首脳の罪と罰 原発コスト専門家が語る「調査報告書」の核心
読みごたえがある調査報告書
──報告書を読んでどのような印象をお持ちになりましたか。
関西電力と高浜町元助役の森山栄治氏との間で、原発の立地や増設時点にまでさかのぼって不正な関係が築かれていた事実の一端が明らかにされた。
第三者委員会が実施したデジタル・フォレンジック調査によって、関電社内の電子メールの中身などが解析され、とくに原発再稼働のための新規工事に森山氏の息のかかった業者が群がっていることや、そうした企業に関電が受注できるように約束したり、随意契約などの便宜供与が繰り返し行われてきたことが判明した。
また、関電の豊松秀己・元副社長をはじめとする原子力事業の上層部3人に集中的に金が流れており、社内のルールを曲げて受注を得られるように森山氏と親密な企業に便宜を図ってきた実態も明るみに出た。調査結果は相当踏み込んだ内容で、読みごたえがある。
他方、国(経済産業省)や政治家、福井県、地元自治体、県内外の有力企業との金のやりとりや口利きの実態はほぼ調査対象外となっている。福井県や高浜町の職員も森山氏から金品を受け取っていたことが判明したが、今回の報告書ではそれらの不正の実態は解明されていない。また、電気料金を原資とした電源三法交付金にかかわる公共事業についても調査の範囲外となっている。
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