フィリピン大統領選が「国外で」盛り上がる理由 世界屈指の出稼ぎ大国、在外投票候補者が注目

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一方の赤緑側。2022年4月17日に東大阪市立市民ふれあいホールに約200人が集まった。ほとんどの人がマルコス氏とサラ氏をあしらったTシャツやポロシャツを着ている。しかも何種類もあり、どれもフィリピンから送られてきたり、現地で調達したりしたものだという。

京都市国際交流会館で行われたロブレド氏支援者の花見写真(写真・柴田直治)

復活祭のお祈りの後は歌ありダンスあり。「BBM(マルコス氏の略称)、マールコス」「BBM、 サーラ」とシュプレヒコールを連呼する。フィリピンとインターネットでつないだ大画面にマルコス氏支持の有名歌手が登場すると大きな歓声があがり、ヒットソングを会場全体で唱和した。食事も酒もなかったが、参加者は終始ノリノリで盛り上がった。

主宰した「OFW IMMIGRANT OSAKA」(海外フィリピン労働者・移民大阪)のマリア・ハンダさん(57)は「お父さんの元大統領の時代からマルコス家を支持してきた。あの当時はフィリピンの黄金時代で暮らしも治安もよかった。そのあとの大統領たちが経済を無茶苦茶にした。ボンボンに母国復活の夢を託したい」と話した。

外国で支持候補を応援する初の運動

マルコス、ロブレド両陣営とも日本に複数の支持団体があり、各地でパレードや集会を繰り返している。参加者は日本で働く人たちや日本人の夫を持つ主婦らが多く、女性が過半を占める。

こうした「選挙運動」が繰り広げられているのは日本に限らない。アメリカや中東、タイ、香港、マカオなど世界各地で、フィリピン国内各地と同じような集会やパレードが展開され、その模様がフェイスブックに投稿されて各地の盛り上がりを競っている。国外ではグループの結成から情報共有、発信までのほとんどがSNSを通じて行われ、それぞれ数千から万単位のメンバーがいる。

日本国内では、ミャンマー人が中心になって母国の軍事クーデターに抗議するデモをしたり、ロシアのウクライナ侵略に反対する外国人らが集会を催したりする例はあるが、外国の選挙で特定候補の応援活動が出身者によって継続的に行われた例はおそらくこれまでなかったであろう。

世界の命運がかかるアメリカ大統領選はもとより、在留する人数で上回る韓国人が、韓国大統領選でそうした選挙運動をしているところを見た覚えはない。

フィリピンの選挙でも、国外で大きな選挙運動が展開されるのは今回が初めてとみられる。集会に参加した人たちや日本に長く住むフィリピン人に聞いても前回2016年の大統領選までは見られなかった現象という。

ボンボン・サラのタッグでの出馬が決まった2021年10月から、同陣営がフィリピンの外でも積極的な活動を仕掛けたとされる。各地の支持者らが呼びかけにこたえて活動を拡大させている。

このコンビには前回選挙の成功体験があった。大統領選でサラ氏の父は全体の39%を得票したが、在外では実に72%を獲得した。ボンボン氏は副大統領選に出馬し、ロブレド氏に僅差で敗れたものの、在外では4割を獲得しロブレド氏にダブルスコアで圧勝していた。

次ページ在外投票で圧勝した現職大統領
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事