コロナ禍でブーム再燃、「2輪業界」5つのトレンド 今の流行は?東京モーターサイクルショー総括

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充電コネクターは前面に配置(筆者撮影)
充電コネクターは前面に配置(筆者撮影)

主な特徴は、自社で開発した高回転型の空冷永久磁石埋込型同期モーター(IPMSM)を搭載すること。最高出力は11ps、最大トルクは3.1kgf-mを発揮し、「VCU」「BMS」「MCU」といった電子制御デバイスを搭載することで、バッテリーエネルギーの高効率と高出力を両立する。なお、VCUとはガソリン車のECUに相当するデバイスで、速度センサーなどの情報と推定値を統合演算する。VCUからの制御信号は、バッテリーの安全制御を行うBMS(バッテリーマネージメントシステム)と駆動用モーターを制御するMCU(モーターコントロールユニット)へ送られることで、バッテリーにかかる過度な負担を抑え、性能安定化を図る。

ポータブル充電器から充電している様子(筆者撮影)
ポータブル充電器から充電している様子(筆者撮影)

搭載するリチウムイオンバッテリーは、容量56.3Ahの車両固定型で、満充電での航続距離は104km。「急速充電器」「普通充電器」「ポータブル充電器」の3つの充電システムに対応し、使用環境や用途に応じて選択が可能だ。急速充電器は事業所や2輪車販売店などへの設置に適しており、1時間で残量0%から90%までの充電が可能。普通充電器は、自宅など私有地への設置に適し、5時間で残量0%から100%の充電が可能だ。ポータブル充電器は、14時間で残量0%から100%の充電ができ、シート下トランクに収納できるサイズのため、出先での充電にも対応する。

ポータブル充電器はシート下に収納可能(筆者撮影)
ポータブル充電器はシート下に収納可能(筆者撮影)

なお、ヤマハは、日本において、一般ユーザーから希望者を募り、リース形式で行う実証実験を7月からスタートさせる予定だ。リース期間は3カ月間で、取り次ぎ窓口はヤマハスポーツバイク専門店「YSP」、リース料(税込み)は月額2万円が予定されている。こうした実証実験により、将来的に個人向けやシェリングサービスなどの事業向けに最適な、新しい電動スクーターの登場が期待される。

ヤマハは電動バイクでトライアル競技参戦予定

トライアル競技車両として出展されていたTY-E2.0(筆者撮影)
トライアル競技車両として出展されていたTY-E 2.0(筆者撮影)

ヤマハでは、ほかにもトライアル競技向けの「TY-E 2.0」を出展した。トライアルとは、山間部などの高低差や傾斜が複雑に設定されたコースを、いかにバイクに乗ったまま足を着かずに走り抜けるかを競う競技だ。ヤマハでは、このバイクで、世界最高峰の「FIM(国際モーターサイクリズム連盟)トライアル世界選手権」2022年シーズンにスポット参戦する予定だという。CFRP製コンポジット(積層材)モノコックフレームや、新開発の軽量バッテリーなどを採用した当モデルは、「FUN×EV」という開発コンセプトをもとに開発された、いわば実験車両だ。過酷な条件下で競うトライアルで蓄積した技術や経験を活かすことで、将来的にCO2を排出せず、乗って楽しい新たな電動化モデルの創出を目的とする。なお、世界選手権には、ヤマハワークス契約ライダーの黒山健一選手が参戦する予定だ。

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