品川女子学院の理事長が説く「子どもの伸ばし方」 「あなたはなぜ子供に受験勉強をさせるのか」

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――「女の子は学歴主義では対応できない」とはどういうことでしょうか?

漆先生:女性に求められる学歴は「学校歴」でなく、「学習歴」だと思います。その理由のひとつが、出産を経てのライフステージの変化です。子育てと両立して仕事を続ける人、復帰する人の率は年々高まっており、仕事をしているお母様の割合は2019年に72.4%となっています。しかし女性の正規雇用率は未だに男性の半分程度です。

参考/厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況

出産を経験する女性は、期間はそれぞれですが、多くの人が一度は職場を離れます。女性が子育てと両立して仕事を選ぶためには、いわば「復職力」が必要です。それは、この人でないとダメなのだと思われるような力を示す客観的な指標です。出身大学名より、どんな学部学科でどんな力をつけたのかという学習歴が重要なのです。

――女性リーダーが生まれる環境とは?

漆先生:日本にはさまざまなジャンルを学ぶ環境を備えた女子大が数多くあります。そしてその環境から誕生したトップリーダーも少なくありません。男性リーダーに比べて、女性が学びを深める大学は選択肢が広いと感じます。

女性リーダーには二つの共通点が

トップリーダーを見ると、たとえば、ゲームやインターネット関連企業のDeNA会長・南場智子さんは津田塾大学出身。また、ecuteという駅ナカ事業を運営するJR東日本ステーションリテイリング代表を務めたのち、2015年2月からカルビーの上級執行役員に就任。2018年12月には日本各地域の食材・生活習慣・歴史・文化などを国内外へ発信するONE GLOCALを自ら立ち上げた鎌田由美子さんは日本女子大学出身です。

また、女性リーダーには二つの共通点があって、ひとつ目は国際経験があること。二つ目が、先ほど述べたように学習歴が高く、資格や専門制があることです。たとえば、先ほどの南場さんはハーバードMBAを取得されていますし、鎌田さんは50代でロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)に留学されています。

さらに、日本初の総合商社女性役員・茅野みつるさんは米国の女子大・スミスカレッジ出身であり、カリフォルニア州の弁護士資格と実務経験をお持ちです。また、2011年に東京コカ・コーラボトリング(現コカ・コーラ ボトラーズジャパン)取締役兼CFO(最高財務責任者)に、2020年6月に太陽ホールディングスの社外取締役に就任された青山朝子さんはICU(国際基督教大学)出身で、公認会計士とMBAの資格を取得され、20年1月からはNECグローバルファイナンス本部長、22年4月からは同社の執行役員に就任される予定です。

現在、日本の雇用形態も、徐々に「メンバーシップ型雇用(終身型雇用)」から「ジョブ型雇用(働き手の職務内容をあらかじめ明確に規定して雇用する形態)」に移行すると言われていますが、こうした女性リーダーに関しては、すでに労働市場が変化していると感じています。

(撮影/黒石あみ 構成/望月琴海)

インタビュー 漆 紫穂子
品川女子学院の理事長。東京都品川区生まれ。
都立日比谷高校、中央大学文学部卒業、早稲田大学国語国文学専攻科、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。1925年から続く中高一貫校・品川女子学院6代目校長を経て、2017年より現職。行政改革推進会議構成員(内閣官房)。
同校は1989年からの学校改革により7年間で入学希望者数が30倍に。「28プロジェクト」を教育の柱に社会と子どもを繋ぐ学校づくりを実践している。著書に『女の子が幸せになる子育て』(だいわ文庫)、『働き女子が輝くために28歳までに身につけたいこと』(かんき出版)などがある。【品川女子学院 理事長日記】はこちら
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