GWに試してほしい「読書の満足度を高める」技術 自分に合う方法がわかる「戦略的読書」のススメ

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本を読まずに積むことも、1つの戦略です。読みきれない本を机の上に、本棚に、ときには床の上にも積んでゆく「積読」という日本語がBBCで話題になったことがあります。

そのときの記事は積読を“Theart of buying books and never reading them”「本を買って、それを読まない技法」としたうえで、日本ではそれがスティグマ(悪い偏見、蔑視)をともなう言葉ではないことを紹介していました。

本を買うタイミングは、心が動いた瞬間に、すぐに買ってしまうことがおすすめです。もう一度、同じように心が動く瞬間は来ないかもしれませんし、来たとしてもその時点で本が手に入らない可能性もあります。

そして、ある程度は本が積まれ、「積読」状態になることは熟成期間であると受け入れる必要があります。まだ読んでいない本も、私たちが感じたあこがれや、向かいたいと思っている方向性について思い出させてくれる栞になります。ですから、本は罪悪感なく積む必要があるのです。

「類読」も学びを加速する習慣になる

積読と関係しますが、調べたいテーマについて類書をすべて買い集めて星座のように並べる「類読」も、学びを加速する習慣になります。

天動説と地動説をテーマとしたとある漫画を読んでいたときに、本当の歴史的な流れはどうだったか、異端審問は時代によってどう行われていたのか興味がわいたことがあります。

そこで15世紀前後の科学史、異端の歴史、ケプラーやコペルニクスの伝記、当時を舞台とした小説といったものまで、新書から専門書、国際郵便で取り寄せる必要のあった洋書の古書までを一気にそろえてしまい、自分なりの興味の「星座」を組み立てました。

1冊の漫画を読むのには大げさかもしれませんが、ほかの誰も実践していなさそうな本のパターンで話題を追うことで、独自の情報のフィルターを作っているわけです。いまも、それらの本をすべて読むことはできていません。しかしそこに参照できる情報の星座があるだけで、自分だけの個性的な読みが生まれるのです。

読書の記録をつける際に「読み終えてから感想を書く」のでは遅すぎる場合があります。1冊の本には議論が多岐にわたるものや、小説の場合にはプロットが複雑で読み終わるころには最初のあたりを忘れそうになっているものもあります。

そうしたときに、毎日読んだ分の内容を、その都度追記してゆく「読書ジャーナル」をつけたほうが、読書体験をより忠実に記録し、あとで内容を思い出しやすくなります。

人によっては、本に対する評価を途中で下してはいけないと考える人もいるようですが、序盤で「ちょっと退屈だ」と書き留めていた本が、ある章を境にページをめくるのを止められなくなったというのも、読書家としての楽しみの1つです。そうした意見の変遷もそのままに記録するところに価値があります。

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