では、論理的な思考や読み書きに結びつく、説得力ある話し方の論理構成とはどのようなものか。「考える技術・書く技術」の著者で、元・マッキンゼーコンサルタント、バーバラ・ミントが説いた理論的な伝え方の法則が「ピラミッド原則」だ。まず、キーメッセージやポイント、つまり結論を伝え、それを裏付ける2~4点の理由・根拠を説明し、さらに、具体的な説明や事例を加えていく。これは、もう一つの代表的な論理構成とされるP-E-E (Point-Evidence-Explain)構造とも一致する。ポイント→論拠→説明の順番だ。
ピラミッド型で話をしよう
筆者は全国紙の経済部記者、PR会社のコンサルタント時代に多くの経営者にインタビューし、また経営幹部に対して、メディア対応やプレゼンテーションのノウハウをコーチングしてきた。のべ1000人以上の社長、役員、政治家など、日本のリーダーたちの話を聞いたが、圧倒的多数が「逆」ピラミッド型。時系列で話を進めたり、ランダムに事例や論拠を説明して、最後に結論がようやく来る、という話し方だ。要するに、前置きが長い。
「朝ごはんは何を食べましたか」という問いに、「朝起きて、歯を磨いて、着替えて、新聞を読んで(中略)……、トーストを食べました」と言っているようなものだ。街頭でたまたま聞いた、ある著名政治家の演説は主語から結論である述語まで、実に3分間はあっただろうか。延々と、句点のみで文章を続け、何を言いたのかが、最後までわからなかった。そのうち主語が何だったかを忘れ、結局、中身がわからない「あみだくじ」のような話し方だ。非常に優秀で頭脳明晰と言われる政治家の方であったのだが…。
一方、アメリカのエグゼクティブのインタビューのやり取りを聞いていると、多くが、この「ピラミッド型」で、実に明快だ。
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