シャルリは表現の自由の限界に挑戦していた シャルブが活躍した子供新聞編集長を直撃
「子供たちはかなり怖がっているだろうと思う。大人である私たちは『絶対大丈夫、安全だよ』とは言えないし、何が起きたかその全部を説明することもできない。しかし、17人が殺害されたというのは事実だ。刺激を与えないように故意に情報を出さないのではなく、子供たちに分かるようにきちんと伝えて行きたい」。
編集室の片隅にあるテーブルの端に座っている男性がいた。今日の仕事を終えたばかりの風刺画家の1人、ステファン・ブリドウロ氏である。このテーブルは通常は編集会議用に使われているという。
ブリドウロ氏は仕事ではコンピュータをまったく使わない。編集長が決めたいくつかのトピックについて、アイデアが浮かんだら、白い紙に黒ペンでさっと描く。描き終わったら、コンピュータを使って色をつけるデザイナーがいるので、彼女に漫画を渡す。
仕事用具はたくさんペンが入った緑色の小さな小物入れと白い紙、過去に描いた風刺画、アイデアの基になるトピックを書き取ったメモ用紙のみ。風刺画とメモ用紙をオレンジ色の箱型ファイルに入れて保管している。彼は「日本の漫画家長谷川町子の大ファン」で、意地悪ばあさんやサザエさんの漫画をこちらが持っていたノートに描いてくれた。「クレヨンしんちゃんも面白いね」。
「自分の子供時代を消された思いがした」
シャルリ・エブドで銃殺事件が起きた日はここで仕事をしていたという。「非常に驚いた。ただ、何が起きたかを実感するまでに時間がかかった。後でニュースをテレビで見て、亡くなった風刺画家の中に知っている人たちがいたことを知った」。
ブリドウロ氏は10年前からここで働いているので、シャルブを直接は知らなかったが、彼が発案したコティヨンやロニョンを描くことがあるという。「どの風刺画家の作品もよく知っていた。特に(ジャン・)カビュ、(ジョルジュ・)ウォランスキなど高齢の風刺画家の作品は自分が子供のときによく見ていた」。殺害されたことを知ったとき、「自分の子供時代を消された思いがした」。
9日付の紙面は攻撃があった7日に制作された。「悲しさと怒りがあった。この2つの大きな感情に押されるようにして描いた。描き終わったら、さらに悲しくなった」。
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