シャープ、そろり近づく中計見直しの深刻度 金融支援継続に"必達目標"のはずが…
シャープの2015年3月期決算が、計画を下回る見通しとなった。10月に発表された14年度通期計画は、売上高2兆9000億円(前期比1%減)、営業利益1000億円(同8%減)、当期純利益300億円(同2.6倍)だったが、前期比での営業減益幅が膨らむ見通し。純利益は赤字に陥る可能性も出てきた。
シャープは経営危機を経た13年5月に、13年度~15年度の中期経営計画を発表。15年度の売上高は3兆円、営業利益1500億円を目標としてきたが、こちらも未達に終わる可能性が高く、今期末にも、15年度以降の新たな中計を発表する見通し。ただ、13~15年度の中計達成は、メインバンクのみずほコーポレート銀行や東京三菱UFJ銀行による金融支援の“前提条件”とされており、支援継続には説得力のある成長シナリオの提示が不可欠だ。
"好調"のはずの液晶事業に黄信号
計画未達となる理由の一つは、主力の液晶パネルや電子部品の価格下落だ。シャープは液晶パネルの過剰投資があだとなって経営危機に陥ったが、足元では小米(シャオミ)など中国のスマートフォンメーカー向けを中心に、中小型液晶パネルの需要が伸びており、液晶は再び成長ドライバーになりつつあった。
しかし、「中国のスマホメーカーは、(アップル「アイフォーン」やサムスン「ギャラクシー」に比べて)新モデル投入サイクルが短いうえに、液晶パネルサプライヤを短期で変更する場合もあり、需要の変動リスクが高まっている」とモルガン・スタンレーMUFG証券の小野雅弘アナリストは指摘する。競合のジャパンディスプレイは、この中国スマホ向けパネルの受注減が一因となって、昨秋に14年度通期見通しを下方修正していた。
シャープは期初時点での需要が好調だったこともあって、今期の液晶事業の営業利益計画を550億円(前期は415億円)としているが、この計画達成が難しいだけでなく、ジャパンディスプレイ同様、今後需要が急減するリスクも抱えている。
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