【産業天気図・銀行業】不良債権は減少傾向だが、銀行間で処理にバラツキ

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銀行業は『曇り』の空模様が続きそうだ。
 2004年10月末現在の全国貸出残高(国内銀行合計)は389兆0934億円(前年同期比▲2.12%)と、緩やかな減少傾向がまだ続いている。
 各銀行の中間決算を見ても、中小企業向けの無担保融資や個人向け住宅ローンなどは好調を維持しているが、貸し出しボリュームは一部銀行を除いて減少している。
 そんな中で銀行各社は、手数料収入の拡大で収益向上を図っている。投資信託や年金保険、外貨預金や個人向け国債の販売手数料だ。
 12月に解禁された証券仲介業に及び腰ながら各行が取り組むのも、こうした戦略の延長線上にある。
 また、景気回復の中で不良債権残高がピークアウトしつつあり、前年同期比で貸し倒れ費用が減少している銀行が多いのが特徴だ。
 主要行の中間決算状況(速報ベース)では、大手11銀行合計の実質業務純益は、資金利益の減少や債券売買益の縮小で9.3%減少。ただ不良債権処分損が4割弱減ったため経常利益は大幅に回復した。不良債権比率も前中間期末の6.45%から4.65%まで減少し、05年3月末までの半減目標が照準に入ってきた。
 4メガバンクの不良債権比率を個別に見ると、全体としては低下しているものの、各行の動きにはバラツキがある。通期予想もこれを反映してUFJ、三井住友が減額、みずほは増額、三菱東京は期初予想並みとしている。
 地方銀行に目を転じると、再編が再び活発化してきた。
 10月の殖産銀と山形しあわせ銀の経営統合発表に続き、11月に入り紀陽銀と和歌山銀、関東つくば銀と茨城銀も統合を発表。後者4行は04年8月に施行された「金融機能強化法」による公的資金注入も視野に置いている。
 05年4月にはペイオフが解禁されるが、まだ不良債権比率が高く自己資本の脆弱な地域金融機関は残っている。金融庁や各地方財務局の検査が後押しする形で、05年3月期末にかけても業績の下方修正と、それを引き金とした再編が各地で起きる可能性が高い。04年度下期の要注目点だ。
【山川清弘記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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