「ワクチン接種で死者が増加」ははたして本当か 「接種後に○○人死亡」を正しく読み解くコツ

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反ワクチン派は「ワクチン接種によって死亡者が増加している」と主張しますが、なたして本当でしょうか(写真:sasaki106/PIXTA)
新型コロナウイルス感染症がパンデミックを起こしてから、はや2年が経過した。新たな変異株も発見され、わが国ではゼロコロナを目指すよりも、むしろ「コロナとどう向き合うか」にシフトしつつある。
このようななか、常に最新のエビデンスに基づいた情報を発信し続けるのが、免疫学の第一人者である宮坂昌之氏だ。同氏の新刊『新型コロナの不安に答える』から、新型コロナの現状を3回に渡ってお伝えする。今回は第2回(第1回はこちら)。

反ワクチン派の識者は、しばしば「ワクチン接種は感染予防に役立たない。むしろ接種によって死亡者が増加している」と主張します。

彼らが根拠として挙げるのが、新型コロナワクチン接種後に亡くなった死亡者数です。彼らは「接種後に死亡者は1400人を超えている。それでも3回目、4回目とワクチンを打ち続けるのか!」と主張します。

しかし「ワクチンを接種した後に亡くなった」ということは、「ワクチンが原因で亡くなった」ということとはまったく違います。人はワクチン接種とは関係なく、突然命を落とすことがあるからです。ワクチン接種後の死亡事例のなかで、ワクチン接種との因果関係が認められてはじめて「ワクチンが原因で亡くなった」ということになります。

ワクチン接種後の死亡例は1402件

2021年12月24日時点での厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の資料によると、ワクチン接種後の死亡例として報告されたものは、接種開始から2021年12月5日までに1402件ありました。内訳はファイザー製1343件、モデルナ製59件、アストラゼネカ製0件です。

2021年12月5日までの100万回接種当たりの死亡報告件数は、ファイザー製で8.1件、モデルナ製で1.8件、アストラゼネカ製で0件です。

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