「ワクチン接種で死者が増加」ははたして本当か 「接種後に○○人死亡」を正しく読み解くコツ

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これだと、ファイザー製が突出して多いように見えますが、ワクチン接種者の属性にはかなり差があるので、この数字は単純に比較できません。全国の地方自治体で先行して接種が進んだファイザー製は高齢者の接種者が多く、主に大規模接種会場で使われたモデルナ製やアストラゼネカ製は若い層の比率が高いため、実際には数字ほどの違いはないと思います。

死亡事例ほぼ100%「灰色分類」

厚労省は「ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの」を「α」、「ワクチンと死亡との因果関係が認められないもの」を「β」、そして「情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないもの」を「γ」と分類しています。

専門家グループの分析では、全死亡例1402件中「因果関係が否定できない(α)」は0件、「因果関係が認められないもの(β)」が9件、「情報不足で因果関係が評価できない(γ)」が1393件とされました。つまり、これまでのワクチン接種後の死亡事例は、全体の99.4%、ほぼ100%が「γ」、すなわち「灰色分類」ということです(図)。

ワクチンの副反応疑い報告のなかで、死亡として報告された事例の死因分析 (2021年12月24日時点での厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会報告より、2021年12月5日までのデータを集計)

この状況は、実は海外でもほぼ同じですが、どうしてこれほど「灰色判定」が多いのでしょうか?

実は、死亡とワクチン接種が無関係であることを証明するのは、簡単ではありません。たとえば接種直後にアナフィラキシー症状が出て会場でそのまま死亡するような症例であれば、ワクチン接種との因果関係が強く疑われますが、自宅に帰ってから脳卒中や心不全になった場合は、既往症の可能性も高くなります。

しかし、ワクチンには副反応はつきものなので、それが発症にまったく無関係だとの断定もできません。病理解剖や組織検査などを行えば、因果関係の信頼度を高めることは可能ですが、完全な因果関係の立証は困難です。必然的にワクチン接種後に死亡した症例は、すべて「副反応疑い報告」にカウントされて、そのまま因果関係あるなしの判断がつかない「灰色判定」になってしまうのです。

ほぼ100%が「灰色判定」なので、データを「黒」(「ワクチンが原因で死亡した」とする)と見るのか、「白」(ワクチン接種と「死亡」とは関係がない)と見るかで、印象はまったく違ったものになります。

ワクチン反対派は「灰色判定はすべて黒」と見なすべきだと考えます。しかし、これはいささか乱暴な決めつけと言わざるを得ません。

ワクチン接種者の中には、もともと体調が悪い高齢者の方も多数含まれますし、高血圧や糖尿病、がんなどの既往症を抱えている人も多くいます。こうした死亡リスクの高い方が、ワクチン接種とは関係なく、突然死亡するケースもあります。

また、健常だと思われた人のなかには自覚症状のないまま動脈硬化が進行し、脳卒中や動脈瘤破裂などで突然死する方もいます。ワクチン反対派の意見にしたがえば、こうした方々も「ワクチン死」にされてしまいます。

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