ボクたちが絶対薦める「6冊の岩波文庫」

IIJ鈴木幸一×クレディセゾン林野宏

鈴木:あと、音楽とは違うけど、趣味でやりたいことだと、活版印刷とかしてみたいね。それと、海外のほうが文字の種類がいろいろあるでしょう。日本でももっと自由に活字を増やせば、もっと読書の楽しみが生まれるはず。ドイツなんかは、聖書を出している出版社が強くて、ネットワークができている。日本でもそうなればいい。

林野:趣味といえば、私は、麻雀なんか好きですね。勝負事はひと通りやる(笑)。

鈴木:そういえば、以前、任天堂が昔扱っていた花札を見せてもらったことがあるんだけど、その血がにじむようなキレる絵柄に感動した。どこか復刻してくれないかな。

――最後に、普段あまり本を読まない人たちにお薦めできる本は、なんでしょう?

林野:やっぱり薦めるとしたら手に取りやすいものかな。

鈴木:小説なんかいいのかな。今回のキャンペーンでも取り上げられている『夜の来訪者』なんかは読みやすいし、面白い作品だと思いますよ。

林野:私は辻井喬さんのそばにいたから、小説はよく読みましたよ。中学生ぐらいのときには松本清張がでてきて、あの頃の年だとルパンやホームズなども一緒によく読みました。

鈴木:僕は、中学生の頃はロシア文学が好きだったから、トゥルゲーネフとかプーシキンを読んでた。岩波文庫で、日本語に翻訳したものだったけれど。あと親があまりいい顔しなかったけど、永井荷風も。今思えば親が怒るほど、理解していなかったんだけど。『日和下駄』とかいいよね。

表現力豊かな三島由紀夫、文に教養があふれる夏目漱石

林野:日本人だと三島由紀夫の『豊饒の海』なんかは、日本語を駆使して、美を表現している。「へぇ、こんな表現ができるんだ!」という感動があった。行ったこともない場所でも情景が浮かびます。内容というより、日本語の美しさに感動しましたね。こんなに使いこなせるものかと。

鈴木:そういえば、漱石も好きですよ。彼は漢文の素養に加えて、イギリス文学の『トリストラム・シャンディ』をきちんと読み込んでいるから、軽く書いているのに真似できない作風だね。

林野:私も好きですよ。日本人はなかなか彼を抜けないですね。

鈴木:それと初期に軽く書いているような作品も面白いね、『吾輩は猫である』とか。

林野:私も『吾輩は猫である』は好きだな。深刻なことはなにも書いてないんだけど。

鈴木:ぜひ読んで欲しい作品だね。徹底して経済界と実業家を馬鹿にしている。ああいう精神を文化人が持っているのは興味深い。読みやすいけど、どうやって人に紹介すればよいかは難しい作品だと思うね。

林野:『坊っちゃん』なんか、松山の町は気の毒だよね、こんな田舎どうしようもないなんて書かれちゃって。

鈴木:でもそれで有名になったとも考えられるでしょう。僕は『三四郎』のなかで、電車でくちゃくちゃしたおしゃべりをする場面が面白い。日本に対する漱石らしい反応がみえるよね。家庭生活や女に悩むときには、『明暗』が一番いいよ! 暗くてウジウジしてて……。これ、終わりがあるのかなぁって思っちゃう。

林野:そして未完のままですからね。

鈴木:中国の古典なんかは、ビジネスマンが読んでも面白いと感じるはず。昔の手法が今も活かされていることに気づくよ。習近平の政治のやり方なんて、孫子そのものだよ。できるだけ脅して降伏させるっていうね。

林野:『韓非子』も面白いよ。

鈴木:ドラッカーなんかもいいけど、文庫にならないのかな? 著作権とか難しいこと言ってないで、出版界のネットワークがもっとうまくいけばいいのに。最近、今更だけど、後期の森鴎(字体)外の文章に感嘆することがある。やっぱり年を重ねると読み方や感じ方が変わってくるんですね、不思議と。

林野:だから、できるだけ若いうちに読むことが大切なんですよ。

鈴木:そう、いまわからなくても、読んでおくことが後々活きる。年を取って理解するのもありだし、「なんだ、あの時わかってなかったじゃないか」って気づくこともできる。

林野:まずは絵本でも漫画でも、どこから入ってもいいわけですよ。好きになるってことが、いちばん重要です。

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