ボクたちが絶対薦める「6冊の岩波文庫」 IIJ鈴木幸一×クレディセゾン林野宏

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――実際のビジネスの中で、古典が役に立った、と感じられることはありますか?

鈴木:僕は本を読むことのいちばんの効用は自分を客観視できることにあると思うんですよね。仕事に精を出しているときにでも、夏目漱石なんて読むと、自分がなにを馬鹿なことやってるんだろう、って気持ちになる。商売している自分との距離感を感じるきっかけになるよ。

林野:それは確かにありますよね。ビジネスをするうえで、自分を客観視すること、する能力っていうのは非常に重要ですから。

グローバルな付き合いで必要とされる、古典と音楽

鈴木:あと、グローバル企業になってくると、他の国の人たちとの会食があるでしょう。そういうときね、男同士は数字の話でもしてればいい。それでわかりあえるから。問題は、大体そういう会食は、同伴なんですよ。奥さまには数字の話をするわけにいかない。そうなるとやっぱり古典とか音楽なんですね。教養人の奥さまたちと、シェイクスピアとかの話をするとわかりあえる。

林野:話題がね! そういう話で笑いあえるってことは非常に重要ですよ。

鈴木:そうそう。相手の国について教養のひとつもないと馬鹿にされますよ。

――おふたりとも音楽がご趣味だとうかがっています。

林野:私は昔、ディスクジョッキーになろうと思ってたんですよ。中学生の時にプレスリーがでてきて、高校1年生のときにアメリカでロックのルネサンスのようなものが起こった。さらにはビートルズの登場です。憧れましたねぇ。いまも自宅に帰ると必ずなにか音楽をかけています。

マリア・カラス、ジョン・レノン……分類せず音楽を楽しめ

鈴木:林野さん、声もいいし、ディスクジョッキーになれたでしょう!僕も音楽はかなり好きだね。ここ10年ぐらいは、音楽祭を主催していて、自分でもオペラのニュープロダクションをつくったりしている。メセナの活動もかなりやってます。以前は、ワーグナーのオペラのゲネプロに地域の小学生を招待したこともあります。最初は「子どもたちは騒ぐから」、って出演者は嫌がってたんだけど、演奏してみたら見事に静かに聴いてたね。感動しましたよ。出演者のほうも「日本の子どもたちは素晴らしい!」って。生演奏の音楽に触れる場面さえ与えれば、子どもたちも喜ぶんだと感じています。

林野:それはその通りだと思いますね。私はマリア・カラスとか好きだったなぁ。

鈴木:マリア・カラスは活動期間が短かったし、その生涯も悲劇的ですね。音楽って本当にいい。僕は、ジョン・レノンの詩なんか岩波文庫に入っていいと思ってるんだけど。

林野:そうですよね!でもたぶん、著作権なんかバカ高いんじゃないかな……。

鈴木:ボブ・ディランやジョン・レノンの詩を理解するために必死に英語を勉強したな。そういう面でも音楽に親しむことが役に立つこともある。

林野:音楽も変に分類せずに、いろんなものに触れあうことが必要でしょうね。

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