集中できない人は「散漫力」を使えばいい!5秘訣 「最近、どうも集中力が続かない…」悩む人、必読

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最後は、どうしても体が動かないときは、仕事を始めるきっかけとして「『頭を使わないタスク』から始めてもいい」ということである。

【5】「頭を使わないタスク」から始めてもいい

仕事を始めなければいけないのに、なかなか体が動かないときがある。本当に体調が悪いときは安静にするべきだが、体調がよくても、やっぱりやる気が出ないときがある。このようなときは「ブートストラップ」が必要だ。

「ブートストラップ」とはコンピューター用語で、「電源を入れたコンピューターが最初のプログラムをいくつか自動実行し、ウィンドウズなどのOSを起動するまでの処理」のことを言う。

では、人間の操作なしでもコンピューターが自動起動させていくような人間にとっての「ブートストラップ」とは何か? それは「頭を使わないタスク」である。

「記事の見出しのチェック」「雑務」など、頭を使わなくても気軽にできそうな「軽いタスク」から始めてみることだ。3分ぐらい記事の見出しをチェック、次の3分はエクセルで書類をつくるなど、インターバルは短くていい。

とにかく少しずつでも始めることで、脳みそは動き出すいったん動き出した脳みそは活発になっていき、頭を使う作業も少しずつこなせるようになっていく

「ブートストラップ」が自動起動し、「集中力」へとつながっていく。気がつけば、「重いタスク」もいつもどおりにこなせるようになっているはずだ。

「集中する短い時間」を細やかにコントロールする

「集中力を高めよう」と必死になっても、簡単に高めることは極めて難しい。だから、無理にでも「集中力を高めよう」とするのではなく、「集中力のなさ」を受け入れ、「最低限の努力」だけで集中できるインターバルを少しずつ確保する

この「最低限の努力」というところが、大切なポイントだ。

必死に努力すればするほど、わたしたちの心や脳はそれにとらわれてしまう。気がつけば目的が「集中力を高めること」になってしまい、「その集中力を使って何をしたかったのか」は忘れ去られてしまう。このような状態では「読む力」も目的と手段が主客転倒してしまい、「知肉」にもならずにムダになってしまう

大事なのは、「集中する短い時間を細やかにコントロールすること」なのだ。みなさんも、この「散漫力」を生かした短い時間をうまく使いこなせれば「読む力」も効率よく身につき、「知肉」につながっていくはずだ。

「集中できない」ことに悩む必要はない。「集中できない」はある意味、現代病だ。それを使いこなせるかどうかが、知的生産のカギになる。

ぜひ「散漫力」を逆活用することで、日々のインプット&アウトプットを最大限、効率化してほしい。それは誰でも、十分可能なはずだ。

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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