西武ドーム、8年ぶり改名の"本当の"理由 3月から「西武プリンスドーム」に名称変更

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2014年度だけでもホテル・レジャー事業に155億円(前年度比55億円増)の設備投資を行う計画だ。実際、プリンスホテルの外国人宿泊客は前年比20%超の高い伸びを記録しており、宿泊客に占める外国人の比率も高まっている。

西武が狙う"観光大国"への布石

後藤高志社長は“観光大国”のトップランナーになると宣言(撮影:尾形文繁)

西武ホールディングスの後藤高志社長は「日本は観光立国を目標に掲げているが、西武グループは一歩進めて“観光大国”を目指し、そのトップランナーになる」と意気込む。その中心にプリンスホテルの施設群が据えられているのは言うまでもない。

また、品川や高輪、東京プリンスホテルをはじめとした大規模会議場を備えたホテルを数多く有しており、政府が誘致を後押しするMICE(国際会議・学会・研修複合施設)の有力な候補地も多く抱える。

特に長野・軽井沢のプリンスホテルは、日本経団連が「夏季フォーラム」をほぼ毎年開催するなど、MICE機能を持つリゾート地として知られている。昨年7月には別荘型の高級宿泊施設「ザ・プリンス ヴィラ軽井沢」がオープンしたが、VIPの滞在も可能な施設となっている。

軽井沢町は2016年に日本で開催が予定されているサミット(先進国首脳会議)の開催地に立候補している。ほかに仙台市、新潟市、浜松市、名古屋市、神戸市、広島市がメーン会場として名乗りを上げているが、近年のサミットは各国の有名保養地が選ばれるケースが多く、軽井沢には追い風といえる。

昨年7月に開業した「ザ・プリンス ヴィラ軽井沢」(撮影:尾形文繁)

「軽井沢をスイスのダボス、米国のアスペンに続く国際リゾート地にしたい」(後藤社長)。サミットの開催地に決まれば、海外でのプリンスホテルの知名度も一気に高まり、“海外旅行客が真っ先に思いつく宿泊先”の地位を確固たるものにできるだろう。

西武グループの成長戦略は、鉄道など都市交通分野を安定成長させつつ、ホテル・レジャー事業と不動産事業で大きな飛躍を図るというものだ。そのカギは、インバウンド需要をどう取り込むかにかかっている。「西武プリンスドーム」への名称変更には、そんな西武グループの意気込みが込められている。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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