4月から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで、18歳、19歳でも親の同意を得ずに、さまざまな契約をすることができるようになった。例えば、携帯電話を購入したり、一人暮らしのために賃貸を契約できたり、クレジットカードを作ることもできる。
これまでは18歳、19歳が怪しい契約を結んでしまったとしても、事後に本人や保護者などが契約を取り消せる「未成年者取消権」を使って契約を取り消すことができたがそれが4月からはできなくなった(参照:『「18歳のおカネ」成年年齢引き下げで狙われる危険』)。
そのため、学生時代から金融リテラシーを高める重要性が徐々に認識されつつある。
時を同じくして、高校の家庭科の授業のなかで従来行われてきた金融教育の内容に、投資信託や債券といった具体的な金融商品に触れる時間が追加されたことで、やはり金融教育に関する報道を目にする機会も増えた。本稿では講演の際に筆者によく寄せられる金融教育に関する質問に関して回答を共有しつつ、わが家の金融教育事情についてもお伝えしたい。
金融教育はこれまでも行われていた
最初に紹介するのは日本の金融教育の現状についてだ。よくある報道は「2022年4月から日本でも高校の家庭科の授業で金融教育がはじまる」というものだが、まずこの報道自体が誤っているということを指摘しておこう。
文部科学省が2010年1月に公表した「高等学校学習指導要領解説 家庭編」の中には「生活における経済の計画と消費」という項目があり、そこでは「資金管理とリスク」というテーマがある。そこでは家計管理やライフプランニングなど、いわゆる金融教育は行われていた。
しかし、2018年に告示された指導要領の中で、債券や投資信託という具体的な金融商品の名前が記載されたことが投資文化のない日本人としては衝撃的だったようで、前述のような誤った報道がなされたのだと推察する。
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