ゼレンスキーとジョブズ、2人の意外な共通点 「アイデア」の力こそが、世界を変革できる!

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さて、ゼレンスキーはどうでしょうか?

彼のアイコンであるカーキ色のTシャツ。戦時中だから当然だと思われるかもしれませんが、彼は軍の制服組トップではなく、大統領、つまり政治家です(つねに軍服を着ていた人物として日本の東條英機がいますが、彼は陸軍出身の生粋の軍人です)。

コメディアン出身のゼレンスキーは、大衆の心をわかっています。心をつかむツボを熟知しています。

ある時点で、彼は気づいたのでしょう。

自分は、国家の象徴だ。自分がカーキ色を着続けることで、今は戦時中であることを強く印象づけ、国民がひとつにならなければいけないことを視覚的に伝えよう。そして、平和なときが訪れるまで、平服は絶対に着ないように誓おう、と。

つまり、カーキ色のTシャツは、彼の戦い抜くという意思の表明であり、同時に国民にとって国旗と同様の旗印となることを演出しているのです。

基調講演のたびに衣装を変えて登場していたら、ジョブズはジョブズになれませんでした。国連総会やグラミー賞の場でスーツに着替えて登場していたら、ゼレンスキーという旗は偽物に見えたことでしょう。

2人は、ともにわかっていたのです。

長文メッセージも重要だが、シンプルな自己演出こそ無敵であることを。

アイデアが自分を変える!

たかが衣装、されど衣装。

現代のコミュニケーションは瞬時に行われます。

「じっくり腹を割って話そう」「飲みニケーションが大事だ」などという時代は遠い昔。LINEの文字数がコミュニケーションの基本であり、新聞よりも動画で理解するのが主軸の時代です。

そんな時代のビジネスにあって、「自身を演出する」ことは非常に重要です。初対面の相手ならなおさらです。あなたのイメージは瞬時に決定してしまいます。

そして、どう自身を演出するのか、そこにはアイデアが必要です。さて、あなたにアイデアはありますか?

今回は、衣装の話ではなく、「自分をどう見せるか」というアイデアの好例をご紹介しました。

次回からは、アイデアだけで生きてきた私の奇妙な人生と、その経験から生まれた「ひらめき不要のアイデア発見法」について、ご紹介させていただきたいと思います。

杉森 秀則 勝率88%の常勝プランナー

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すぎもり ひでのり / Hidenori Sugimomri

早稲田大学商学部卒業後、NHKにディレクターとして入社。30歳の誕生日に依願退職、フリーのCMディレクターとなる。

2002年、株式会社映像制作センターを立ち上げる。しかし企画コンペに繰り返し応募するも勝てず、一時は廃業も考えるように。「最後のチャンス」として挑んだコンペで従来のやり方を一新、本書のもととなる「アイデアの見つけ方」を開発して逆転勝利。以降、コンペの勝率は劇的に跳ね上がり、国連、防衛省、資生堂など官公庁や大手企業の映像を企画・演出。

現在でも年間15回以上のコンペに参加、負けるのは1〜2回だけ。電通トップクリエーターや有名建築家でさえ勝率30%台と言われる中で、驚異の「勝率88%以上」を誇る。

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