(第50回)中国の新世代「80後世代」の実力

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 彼らは80年以降生まれなので、「80後(バーリンホー)世代」と呼ばれる。一人っ子政策の中で生まれ、親の寵愛を一身に受けて「小皇帝」と呼ばれて育ったので、「わがままで公徳心に欠ける」などの批判がなされる。ただし、彼らは中国で現代的高等教育を受けた最初の世代であることに注意しなければならない。大学進学率は、03年で20%を超えた。まさに地殻変動と言える巨大な変化が中国に起こったのである。

中国人が日本人より優秀だとは思わないが、全体数が多いため、その中に極めて優秀な人間がいるのだ。彼らに高等教育を与えれば、それが顕在化する。この当然のことを日本人はこれまで忘れていた。

その影響は教育や科学研究の分野でようやく表われ始めたばかりだ。まだ経済や政治には本格的な影響は及んでいない。

科学・教育で中国は日本を抜いた

グラフに示すのは論文数の国別の推移である。90年代の後半以降、中国が著しい勢いで成長していることが一見してわかる。03年頃にフランスを抜き、05年に日本、イギリス、ドイツを抜いた。そしてアメリカのおよそ3分の1にまでなっている(このグラフでは、アメリカのみが右目盛であることに注意)。

80年代の末には、中国の論文数は日本、イギリス、ドイツの20分の1程度でしかなく、まったく比較にならない存在だった。この20年の間に大変化が起きたのだ。


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