日本の憲法は「緊急事態」にどれだけ対応できるか 有事の「議員任期」めぐり与野党有力議員が激論

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新藤義孝氏(自民党政調会長代理):力の均衡が失われたときに悲劇が起きる。国にとって何が必要な安全保障体制なのかをつねに議論するのは政治の仕事だ。その判断について最終的には最高裁が憲法に違憲性があるか否か判断するが、一義的には立法がやり、行政がそれを実施する。この体系は変わっていない。憲法9条があるから、国に危険が迫っているのに何もしないというのはありえない。憲法9条の最大の問題は、国防規定がないことだ。憲法審査会で安全保障に対する議論を始めたい。

木下康太郎キャスター(フジテレビアナウンサー):ウクライナ国会はロシアが侵攻した2月24日以降も5回開催されている。戒厳令の導入を承認したほか、ロシア軍により破壊された不動産の補償、兵士の数を増やすための改正、戦争捕虜に関する改正など65本以上の法律成立や議会承認を行っている(4月10日時点)。ウクライナの憲法には緊急事態条項がある。(衆院憲法審事務局によると)憲法に緊急事態条項を設けている国は9割以上という。日本の憲法には規定はない。国会議員の任期について、ウクライナの憲法では、緊急事態終了後の選挙で選出された議員による最初の議会まで議員任期を延長できると定められている(憲法83条)。一方で、日本の憲法には、衆議院議員の任期は4年、参議院議員の任期は6年、3年ごとに半数改選ということのみが書かれている。衆参ダブル選挙が想定されていて、緊急事態が起きて選挙が実施できない場合、衆議院議員は不在、参議院議員は半数のみの124人ということになる可能性もある。

(画像:FNNプライムオンライン)

緊急事態という概念がない日本

新藤氏:問題は、日本には緊急事態という概念がないこと。有事に通常とは違う態勢を組める規定がないこと。93%の国の憲法が緊急事態を設定しているという。それ以外の国は不文の法理として国家緊急権というのを認めている。アメリカがそうだ。日本のように明示的に緊急事態という概念そのものを設定してない憲法はどこにもない。

ウクライナは緊急事態を宣言した。ロシア軍が侵攻する前日に非常事態、そして、侵攻した日に戒厳を布告して、それに基づいて国会や国が動いている。

(画像:FNNプライムオンライン)

小川淳也氏(立憲民主党政調会長):プーチン大統領が22年もの長期政権でなければ、こんなことにはたしてなっていたか。まともな野党がいれば、こうなっていたか。報道の自由があれば、こうなってたか。任期は民主制国家にあって、唯一権力者を絶対的に縛る極めて重要な概念だ。それを安易に権力者側の都合で伸び縮みさせるようなことにはきわめて慎重であるべきだ。アメリカにも議員任期を延ばす規定はない。日本は太平洋戦争が始まって1942年にも、終戦の1946年にも議会をやっているから、絶対にやれないことはない。なおかつ、参議院に緊急集会の定めがある。コロナが起きたらやれ憲法改正だ、緊急事態だ。ウクライナ情勢で、やれ憲法改正だ、緊急事態だ。便乗するのはいい加減にしてほしい。

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