日本の憲法は「緊急事態」にどれだけ対応できるか 有事の「議員任期」めぐり与野党有力議員が激論
新藤氏:アメリカに緊急事態条項がないのは、アメリカには国家緊急権があって、いざとなれば大統領令でやれるということ。参議院の緊急集会は、衆議院が解散中の想定だ。衆院解散で40日、選挙後の特別国会をやるのに30日で70日間に何か起きたときの規定だ。いつ終わるかわからない長期的な緊急事態には対応できない。そもそも国家の暴走をさせないためには議会の統制が必要だ。憲法には国の権力を抑制する側面がある。立法権がある国会議員が任期を失い、国会の権限がなくなると、意思決定する人間がいなくなってしまう。その穴を埋めるのが緊急事態条項で、憲法を改正し盛り込むべきだ。緊急事態は安易には布告できない。
信用できる判断をするには
橋下氏:場合によっては選挙が実施できないことがあると思う。デジタル投票制度などのインフラ整備も踏まえて考えなければいけないが、どうしても選挙ができない場合には議員任期延長はありうる。しかし、議員は自分の身分や金に関わる問題になるとゆるゆるの判断をする。任期も気づいたらズルズル延長してしまう恐れがある。本当に選挙ができないのかの事実認定はお手盛りにならないように憲法裁判所など第三者のチェックを必要とする仕組みを設ける議論をぜひやってもらいたい。
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):憲法裁判所で判断すべきだということは、立憲民主党の奥野総一郎議員も衆院憲法審で同様の主張をしている。小川さんも同じ考えか。
小川氏:ありえることだ。日本では訴訟当事者資格はかなり限定されていて、裁判所は憲法判断を回避、回避、回避しようという傾向があるので、きちんと判断する機関を設け、議員の身分や特権に関して議論してもらうことは大いにありだと思う。
新藤氏:違憲性があるか否かの判断は、今でも最高裁がやっている。最高裁は信用できないが、憲法裁は信用できるというのは同じことになる。
橋下氏:いや、それは今の日本の司法の仕組みが付随的違憲審査制を前提としているからだ。政治家を信用して高度の政治判断は政治家の判断に任せるという統治行為論がある。だから、そうでない仕組みを考えたうえでの緊急事態条項などをめぐる議論にしてもらいたい。
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