日本の憲法は「緊急事態」にどれだけ対応できるか 有事の「議員任期」めぐり与野党有力議員が激論

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日本の憲法には盛り込まれていない「緊急事態条項」について、与野党有力議員が激論(画像:FNNプライムオンライン)
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ウクライナの国会にあたる最高会議(定数450人、任期5年)が、2月24日のロシアによる軍事侵攻後も議会機能を維持している。政府の戒厳や非常事態の布告を承認したほか、ロシア軍により損害を受けた不動産の補償に関する法律などを次々と成立させているという。憲法の緊急事態の規定により議員の任期も非常事態解除後まで延長できるという。
日本の憲法には戦争やテロ、大規模災害などの有事の際に政府の権限強化や国会議員の任期延長に関する、いわゆる「緊急事態条項」は盛り込まれていない。衆院憲法審査会の事務局によると、外国の憲法のうち9割以上が緊急事態条項を持つという。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、国会で「緊急事態条項」設置をめぐる議論が活発化している。

憲法に緊急事態条項の創設を盛り込む必要性

10日のフジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)には、衆院憲法審査会与党筆頭理事を務める自民党の新藤義孝政調会長代理と立憲民主党の小川淳也政調会長が出演し、緊急事態対応をテーマに白熱した議論を展開した。

FNNプライムオンライン「日曜報道 THE PRIME」(運営:フジテレビ)の提供記事です

新藤氏は「憲法9条の最大の問題は国防規定がないことだ」と指摘し、「憲法審査会で安全保障に対する議論を始めたい」と述べた。番組では改めて憲法に緊急事態条項の創設を盛り込む必要性を訴えた。

小川氏は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢を受けて「やれ、憲法改正だ、緊急事態だと、便乗するのはいい加減にしてほしい」と与党などの姿勢を批判。議員の身分や特権に関して判断するための憲法裁判所の設置に関しては前向きな姿勢を示した。

以下、番組での主なやりとり。

橋下徹氏(番組コメンテーター、元大阪市長、弁護士):戦争を起こさないためには、相手国との軍事力の均衡を図ることが必要だ。相手国から弱いと思われたらやられてしまう。日本の安全保障のいちばんの間違いは憲法9条の解釈だ。砂川判決の最高裁判決(1959年)では、自衛のための措置は認められて、「国際情勢の実情に即応して適当と認められるものを選ぶことができる」とされている。それなのにその後、内閣法制局は「自衛のための必要最小限度」という枠をはめた。しかし、国際情勢を見るのは内閣法制局ではなく、政治家だ。ただちに内閣法制局の解釈を白紙にしろとは言わないが、国際情勢に応じて適当な手段とは何か、極超音速兵器、攻撃型空母、ICBM(大陸間弾道ミサイル)などこれまで政府がずっとダメだ、ダメだと言っていたものも、国際情勢に応じて考えていくことを憲法審査会でやってもらいたい。

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