A. タッチしたときに行き先のない契約が成立?
JR東日本のICカード乗車券取扱規則では、ICカード乗車券を使って列車に乗る場合の個別の運送契約は自動改札機をICカード乗車券を使って通ったときに発生するとしている(規則第20条)。
しかし、その運送契約の内容を考え始めるとよくわからなくなってくる。ICカード乗車券を改札機にタッチしたときには、最低運賃がチャージされていれば改札口を通過できる。しかしタッチをした時点の個別の乗車に関するデータは「単にタッチした駅を発駅として利用する」ということだけで、目的地がどこかは鉄道会社にはわからない。列車に乗車せず入場券として利用するだけかもしれない(規則第54条、54条の2)。
一番すっきりする考え方は…
紙のきっぷを購入して列車に乗車するときには、券面上、乗車駅と下車駅の記載や乗車駅と運賃額がわかるから、乗車区間や範囲が明確になっている(紙のきっぷで乗車する場合の運送契約は、乗車券購入時に発生する(JR東日本旅客営業規則第5条)。だから、利用者と鉄道会社との間で約束する具体的な運送区間も明確である。
私の中ではまだ整理がついていないが、ICカード乗車券で改札機を通過した時点でその鉄道会社が運営する全路線・全区間・全駅を利用することのできる運送契約が発生した、と考えるのが一番すっきりする。結果、入場券として使った場合には改札機から出場する時点で入場料を支払う義務が発生し入場料を支払われる。列車に乗って下車駅の改札機を通過した時に初めて具体的な運送区間が確定し、紙のきっぷと異なり下車駅で運賃を後払いする義務が発生して運賃が支払われる。
振替輸送が発生した時にICカード乗車券利用の場合には振替輸送を利用できないこととなっている。たまたま目にした東急電鉄のホームページのQ&Aでは、「ICカード乗車券では運賃を収受していない状態では乗車区間が確定しないから」と説明されていた。下車駅まで行かない限り、客がどこに行こうとしていたのか、振替輸送が必要な客かわからないから、ということであろう。
まだもやもやしたことはあるのだが、今回は書くスペースが尽きたようである。
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