シビックe:HEV、新開発2Lエンジンと電動化の行方 電動化100%に向けたホンダの今後を占う1台

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シビックe:HEVの特徴

シビックe:HEVのフロントフェイス(本田技研工業)
シビックe:HEVのフロントフェイス(写真:本田技研工業)

新型シビックe:HEVの外観は、基本的にガソリンモデルから大きな変更はない。現行の上級グレード「EX」との比較では、フロントグリルやサイドウインドウのトリムやモールなどにグロスブラックを採用したほか、前後の「H」エンブレムをブルーに変更している。

新型で最も大きな特徴といえるのがパワートレインだ。まず、エンジンには、現行のガソリンモデルが1.5L・4気筒ターボを搭載するのに対し、新開発の2.0L・4気筒NA(自然吸気)エンジンを搭載する。トランスミッションに「電気式CVT」を採用するこのエンジンは、シリンダー内へ直接燃料を噴射する直噴方式を採用するなどで、世界トップレベルの最大熱効率41%を達成。山道などの郊外路や高速道路の合流、追い越しなどのハイペースな走行でも高い実用燃費を維持する。

パワーやフィーリングが大幅に向上

シビックe:HEVに搭載された新開発の2.0Lエンジン(本田技研工業)
シビックe:HEVに搭載された新開発の2.0Lエンジン(写真:本田技研工業)

また、高速道路巡航時などにエンジンのフィーリングをダイレクトに伝えるロックアップ機構の作動領域が拡大したことで、前車を追従するシーンでも燃料消費を抑えながら、運転者のアクセル操作などに対しリニアに反応するドライバビリティや静粛性を高めているという。なお、最高出力は104kW(141.4ps)/6000rpm、最大トルクは182N・m(18.5kgf-m)/4500rpmを発揮する。
 
走行用と発電用の2モーターを内蔵する電気式CVTも改良し、モーターの高出力化と低トルク領域の特性を最適化するなどのアップデートがなされている。モーターの最高出力は、インサイトに搭載するタイプより39kWアップさせた135kW(183.5ps)、最大トルクはインサイトより48N・mアップした315N・m(32.1kgf-m)を発揮する。ほかにも、走行に使う電流や電圧を制御する「パワーコントロールユニット(PCU)」は、インサイト比で36%の軽量化を実現しながらも、出力は12%向上した。

バッテリーと制御装置を一体化した「インテリジェントパワーユニット(IPU)」では、インサイト用と比較して、バッテリーのセル数を12セル増の72セルとしたほか、使用可能容量を19%拡大するなどのアップデートを実施。これらにより、エンジンをまったく始動させず、走行用モーターのみで駆動するEV走行の航続距離を、インサイトの1kmに対し1.8kmに伸ばしている。

ホンダによると、信号待ちなどからの発進では、バッテリーがある程度充電されている状態で、アクセルをうまくじわっと開けていけば、50~60km/hまではエンジンを始動させずに走行用モーターだけで走ることも可能だという(逆に、30km/h程度でもアクセルを思い切って開けると、エンジンは発電のために始動する)。

また、モジュールの高さを23mm低くすることで、IPUをリヤシート下に配置し、車体の低重心化にも貢献するほか、従来機種以上のシート厚を確保することで、後席の快適性向上も実現する。

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