また、より心地よいエンジンサウンドを演出している点も特徴のひとつだ。まず、アコードなどにも採用されている「アクティブノイズコントロール(ANC)」を搭載。車両のノイズに対して逆位相の音を出力し、ノイズを打ち消す機構により、エンジンサウンドがよく聴こえるような室内空間を演出する。また、エンジンの原音を生かしながら澄んだエンジンサウンドをスピーカーから流す「アクティブサウンドコントロール(ASC)」も採用することで、耳障りがよく、リニアで軽快な加速感なども演出する。
e:HEVでもドライビングの楽しさを追求
このようにシビックe:HEVは、単に燃費性能を向上しただけでなく、運転が好きなドライバーがいかに気持ちよく車両を操り、軽快でクオリティーの高い走りを体感できるかを追求したモデルだ。その背景には、1972年に発売された初代モデル以来、長年にわたり世界中から支持されてきたシビックというモデルの特性がある。FF(前輪駆動)による高い居住性を持つ大衆車ながら、俊敏な走りも楽しめることが幅広いユーザーに愛されてきた理由のひとつだからだ。今回のe:HEVも、そんな同モデルのDNAが受け継がれているといえるだろう。
ホンダは、前述の「2040年にEVやFCVを100%」にするまでのステップとして、先進国全体において、「2030年までにEVやFCVの新車販売比率を40%(日本では20%)にする」といった電動化戦略を発表している。一方、残り60%(日本では80%)のモデルについて、中核とする電動化技術のひとつがe:HEVだ。とくに今回シビックe:HEVに採用された新エンジンについて、ホンダは「今後発売する2.0Lエンジン搭載のハイブリッド車に採用する可能性は高い」という。具体的なモデルまでは言及しなかったものの、グローバルで販売される新型車への採用を認めたのだ。e:HEV自体の進化さえもたらした新エンジンが、今後どのようなモデルに搭載されるのかも興味深い。
ちなみにホンダは、シビックの生誕50周年となる2022年に、e:HEV搭載車のほかに、スポーティーモデルの「シビック タイプR」も発売することを公表している(2022年夏頃の登場予定)。2022年1月の「東京オートサロン」でプロトモデルが展示された同モデルも、とくに世界のスポーツカー愛好家などから熱い視線を浴びている。筆者は、今回の新エンジンはシビック タイプRにも、ターボなどを追加して採用するのかを聞いたが、その答えは「ノー」。タイプRには、「まったく別のエンジンを採用する」という。
今回のe:HEVもまだ発売日や価格、詳細なスペックは不明だが、タイプRもまだまだ多くのベールに包まれている。最近のホンダは、新型車の情報について、時間をかけながら徐々に公開していく傾向があるが、ファンのなかには、あまりじらされたくない人も多いのではないだろうか。ともあれ、e:HEVにしろタイプRにしろ、シビックの追加モデルに関する詳細は、今後の追加アナウンスを待つしかないようだ。
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