中国の国有エネルギー大手の中国石油化工(シノペック)は3月28日、2021年の通期決算を発表した。それによれば、売上高は前年比30.2%増の2兆7409億元(約52兆5500億円)。純利益は前年の2.14倍に急増し、過去10年間で最高の712億元(約1兆3650億円)を計上した。
業績拡大の原動力は、言うまでもなく国際石油相場の大幅な上昇だ。シノペックの主力商品である石油製品、化学製品、天然ガスの需給が引き締まり、販売価格の引き上げにつながった。
国際相場のデータを見ると、欧州の石油価格の指標である北海ブレントの2021年の平均スポット価格は1バレル当たり70.7ドル(約8630円)と、前年の1.7倍に上昇。同じく北東アジアの液化天然ガスのスポット価格指標は100万BTU(英国熱量単位)当たり18.6ドル(約2271円)と、同4.24倍に急騰した。
こうした追い風を受け、シノペックの事業採算は大きく改善。決算報告書によれば、同社が2021年に取引した原油の平均価格は1バレル当たり64ドル(約7812円)と前年比65%上昇、天然ガスは1000立方フィート当たり7.1ドル(約867円)と同27%上昇した。
中国政府の価格管理の発動リスクも
事業セグメント別に見ると、2021年の最大の稼ぎ頭は石油精製部門だった。同部門の営業利益は前年の12倍の654億元(約1兆2538億円)に達し、過去最高の水準を記録した。次は石油製品の販売・流通部門で、営業利益は前年比18%増の231億元(約4429億円)に上った。
その他の主力事業もそろって好調だった、化学製品部門の営業利益は前年比18%増の114億元(約2186億円)、油田・ガス田の探鉱および開発部門は前年の2倍以上の6億元(約115億円)を計上した。
だが、今後の業績見通しに関しては、シノペック董事長(会長に相当)の馬永生氏は次のような慎重な見方を示した。
「国際石油相場が高値圏で揺れ動くなか、わが社の石油精製部門は中国国内の価格管理制度のもとで難しい対応を迫られている」
この発言の背景には、中国政府が定めた石油製品の価格管理のルールがある。国際石油相場が基準値の上限の130ドル(約1万5870円)を突破すると、価格管理が発動されて中国国内の石油製品の値上げが凍結されるのだ。
仮にそうなれば、シノペックは原油の仕入れ価格の上昇を石油製品の販売価格に転嫁できなくなる。逆ザヤによる赤字の発生や、(損失拡大を抑えるための)プラントの稼働率低下が避けられない。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は3月28日
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