マツダ「CX-60」今あえてFRを採用する巧妙な意図 直6ディーゼルも新規開発したマツダの戦略
そのうえで、クルマがコモディティ化して他社との差別化が難しくなる中でも、マツダらしい独自プロポーションと操縦性を実現することを挙げた。
このように今、FRに注力するのは「経済合理性と独創性を追い求める中でビルディングブロック戦略として当然の結果である」とマツダは考えている。さらに、ビルディングブロック戦略のフェーズ3は2025年頃から、BEV専用プラットフォーム「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」導入で始まる計画だ。
疑問2:なぜ今、ディーゼルを作るのか?
もう1つの疑問は、なぜマツダは新規のディーゼルエンジンを導入するのか。そして、ガソリンエンジンも含めて、なぜV型ではなく直列エンジンとしたのか、である。
BEVシフト以前、ヨーロッパではディーゼルエンジンが乗用車の主流となっていたが、急激なBEVシフトの中で多くのメーカーがディーゼルエンジン車の削減や新規開発の中止を発表している。
そのため、ヨーロッパメーカー車を輸入販売するインポーターの中には「乗用車はもちろんのこと、小型商用車を含めてディーゼルエンジンは(環境規制のなかで)生き残れないし、そうしたトレンドをユーザーもはっきり認識している」と言い切る人もいる。そんな中でマツダは、新規のディーゼルエンジンを開発したのだ。
今回、試乗したCX-60プロトタイプも、3.3リッターの排気量を持つ直列6気筒のディーゼルエンジン搭載車だった。また、マツダは同様に直列6気筒のガソリンエンジンも開発している。
直列エンジンとした理由は、簡単だ。先に紹介したFRという発想の中で、効率的な設計要件と衝突安全規制への対応を考えれば、エンジンは“縦置き”となり必然的に直列になる。今回は、環境対応として6気筒化による排気量アップも実施した。
エンジン開発を統括する執行役員の中井英二氏は「エンジンは排気量が大きいほど、高効率領域を低負荷領域(=エンジンの低回転数領域)まで拡大できる」と指摘する。
さらに「気筒数が多いほど振動は抑えられ、より低回転を使うことで効率改善につながる。効率は極低負荷の領域以外のすべての領域で(排気量アップと多気筒化によって)で勝る」という。
極低負荷とは、アイドリングから1000rpm台のエンジン回転数を指すことになるが、この回転域を今回のラージ商品群では「48Vハイブリッド」として小型モーターでアシスト。出力と環境性能を高めている。
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