1.6Lで304馬力「GRカローラ」が背負う重大使命 先発の「GRヤリス」とは似て非なる開発の狙い

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そんなカローラ復権の試みは、今回のGRカローラが初めてではない。それは、GRカローラのベースとなったハッチバックのカローラスポーツが嚆矢(こうし)と言えるだろう。2018年に誕生したカローラスポーツは、トヨタのハッチバックモデルの歴史から言えば「カローラFX」や「オーリス」をルーツとするモデルだ。

いずれもカローラ派生のハッチバックであったけれど、スポーツの名はなかった。そこに、わかりやすく若々しい「スポーツ」の名が与えられたのが、カローラスポーツなのである。「カローラを若返らせる」という狙いがあったことは明確だ。

カローラの歴史を変える1台になるか?

そうした歴史の文脈の末にあるのが、GRカローラの開発のスタートとなった「お客様を虜にするカローラを取り戻したい!」という意思だ。

このカローラスポーツにはじまり、格好よくなった現行のカローラ(セダン)、そしてSUVの「カローラクロス」の投入により、カローラに対する世間のイメージは、この3~4年で大きく変化したように見える。

SUVの「カローラクロス:左」とステーションワゴンの「カローラツーリング:右」(写真:トヨタ自動車)

年間販売ランキングも上昇しており、2021年の暦年では3位だった。カローラクロスの貢献度が高いとはいえ、2022年2月の単月では首位を奪取している。

しかし、それでも「虜にする」には足りないのだろう。さらなるダメ押しとしてGRカローラが投入されたのだ。ここにGRカローラとGRヤリスの狙いの大きな違いがある。

GRヤリスは、競技車が先にあって量産車が生まれた。WRCというトヨタ全体のイメージアップのために戦うクルマがあり、そのイメージを直に反映するクルマとして作られた。ヤリスというよりも、トヨタ全体に貢献するのが狙いだ。

それに対してGRカローラは、カローラが先にある。カローラのイメージ刷新のためにWRCのイメージを利用する。狙いはカローラなのだ。ある意味、トヨタがカローラにかける思いは、外で見るよりも強いのだろう。

GRカローラを投入したことで、どれだけカローラのイメージがアップするのか。そしてカローラ全体の販売がどれだけ伸びるのかに注目だ。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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