15両編成や複々線化も?京葉線が秘める「潜在力」 貨物線として計画、各地に不思議なスペースが

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2015年の千葉県議会2月定例会の本会議一般質問で、内田悦嗣議員(当時、現浦安市長)は「京葉線ではピーク1時間あたり22本の列車が運行されており、ここに(りんかい線方面や羽田空港方面への)時間あたり数本の列車を運行することが果たして可能なのか、複々線化について再検討していくべき」などと指摘。これに対し森田健作知事(当時)は「複々線化も有力な手段の1つであり、関係者が検討する際には協力していきたい」と述べている。

京葉線の高架沿いにある線増用地。「千葉県企業局」の看板が立っている(筆者撮影)

千葉県企業庁(現・千葉県企業局)は長らく、京葉線の複々線化用地を独自に確保していた。現在は実現の見込みが立たないため一部を売却しているが、まだ保有している部分も多い。りんかい線や羽田アクセス直通列車が設定されるとなれば、線路容量が逼迫することは想像に難くない。羽田アクセス線計画の進捗によっては、複々線化が検討される可能性もあるのではないだろうか。

また、車両数を増やす代わりに朝の本数を減らし、運行人件費削減につながる方策として15両化も考えられていいだろう。さらにいえば、駅数の割に距離が長い京葉線にこそ、中央線のようにホーム延長によるグリーン車の導入を期待したいところだ。

不思議な構造に隠された構想

いかがだったであろうか。筆者は祖父の家が京葉線沿線だったため、幼少期から京葉線の車窓や運転席後ろからの前面展望を見るたび、なぜ複線分の高架に線路が1本しか敷かれておらず、しかもそれが2本並んでいたり(海浜幕張駅付近)、立体交差部分でも線路1本しかないのに2本分敷けるスペースがあったり(二俣新町駅付近や新習志野駅付近)ということに疑問を持っていた。

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本稿によって京葉線にどんな将来があるのかを想像してみれば、きっとあなたも「わくわくぞくぞく京葉線」(JRポスターより)となるのではないか。

また、こういった高架や線路の不思議な構造は京葉線だけでなく、例えば川越線の大宮駅北側のトンネル出口に線路2本分のスペースがある(埼京線―高崎線直通線の準備スペースとして造られた)など、さまざまな場所で見られる。日常の疑問から、そこに隠された計画や構想を知るのは面白い。ぜひ観察しながら乗ってみてはいかがだろうか。

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北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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