15両編成や複々線化も?京葉線が秘める「潜在力」 貨物線として計画、各地に不思議なスペースが

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後からの工事が難しい地下駅も、15両対応を見据えた設計だ。『京葉線工事誌』によると、八丁堀駅の前後にあるシールドトンネル発進立坑(現非常口)同士の間隔は15両分のホームが入るよう配慮されているという。また東京駅についてもホーム長について「将来310mに延伸可能」であるという。

他線と遠く離れた京葉線の東京駅だが、建設時には地元から「京葉都心ルートを八重洲通りの道路下へ変更できないか」との要望が出されていた。これに対し日本鉄道建設公団(現:鉄道建設・運輸施設整備支援機構)はルート選定理由の1つに「(八重洲通り下にすると)将来新宿方面への延伸が不可能」との見解を示していることから、新橋駅乗り入れから東京駅へのルートに変更後も新宿延伸を見据えていたことがうかがえる。

ちなみに京葉線の新宿駅は、先述の『停車場技術講演会記録 第27回』に収録の総武開発線計画の図面によると、新宿駅南端への設置を検討していたようだ。京葉線新宿駅の西側に位置する部分は大江戸線新宿駅の南端付近で、この部分だけ大江戸線ホームとコンコースの間に巨大な空間があるのは偶然だろうか。

また、新宿駅付近の図面によると、同駅から先は西へ進み、新宿パークタワーの北側をかすめて山手通りの清水橋交差点西側から方南通りの下を走ることを想定していたようで、需要予測の資料によれば中野区弥生町付近などに新駅設置も構想があったようだ。

「羽田アクセス」で複々線の機運高まる?

新宿延伸構想はともかく、複々線や15両に対応できるこれだけの施設、活用されないのはもったいないと感じた方もいるだろう。実はまったく無駄になるかというとそうではないかもしれない。これらのスペースを活用して舞浜駅はホームを延伸できたし、幕張豊砂駅も同様だ。

幕張豊砂駅の開業を告知する垂れ幕(筆者撮影)

そして、沿線の自治体は複々線化をまだ諦めてはいないようだ。県は以前から、東京方面への本数を減らさない形で、りんかい線乗り入れによる新宿方面直通を要望してきた。このために複々線の必要性は高いと訴えてきたが、さらにその意義が高まる可能性がある。JRの「羽田アクセス線」構想だ。

羽田アクセス線は羽田空港から東京方面へ向かう東山手ルート、新宿方面へ向かう西山手ルートのほかに、りんかい線を活用して京葉線方面へ向かう臨海部ルートの3ルートが計画されている。この臨海部ルートの列車を京葉線に入れるにあたり、複々線が必要ではないか、ということだ。

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