採用担当者の戦略を知れば、就活は怖くない 担当者向け書籍には貴重な情報がいっぱい

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就職みらい研究所の調査によると、企業は「学生の働く意欲」「学力」などを比較的高く評価しているが、「業界研究」「仕事・職種研究」「企業研究」などが不十分と感じている。

就活開始を目前にして、「1~2年生のときに勉強をしなかったので成績が悪い」「英語力が低い」「ゼミ入っていない」といったことを懸念している就活生は少なくない。しかし、企業はこうしたことよりも「業界研究」「仕事・職種研究」「企業研究」について不満を抱いている。成績のことなど気にしている場合ではない。業界・企業研究に力を注ぐことで就活を乗り切ろう。

就活生が憧れるような社員を説明会に配置

同じく就職みらい研究所が、学生に対し「入社を決めるにあたって最も重視した条件」をたずねた調査がある。2014年春卒業生の回答で1位になったのは「一緒に働きたいと思える人がいるかどうか」という項目だった。「企業規模」「知名度」などをはるかに上回る結果だった。岡崎所長は会社説明会や面接などのプロセスを経るうちに、「人とのフィット感が大切だ」と気づく学生が多いと解説する。

そして、企業に対して「会社説明会や面接で学生に接する社員は、学生から見て魅力的な人物、憧れを抱き目標となる人物を選定する必要があります」とアドバイスしている。こうした人物は社内のスタープレイーヤーであり、非常に多忙であるケースが多い。こうした人物を採用活動に駆り出すためには、早い段階で関係部署との調整をしておく必要があると言う。

ここで、就活生には気づいていただきたい。会社説明会や面接で出てくる社員は特別な社員であることが多いのだ。説明会の会場に一緒に働きたいと思える人を配置するのは、企業の採用戦略のひとつなのだ。実際は目標になるようなすてきな社員ばかりいるわけがない。一部の社員に会うだけで入社を決めてしまうと、入社後に悔やむことになるだろう。

岡崎所長は第2章の「採用コンセプトを決める」の中で、「新卒を採用することで自社にどのような効果を期待するのか明確にしましょう」と述べている。採用には目的があり、その目的に合った学生が採用される。たとえば、「次世代リーダーを育成したい」との目標がある場合は「マネジメント志向・適正を持つ学生」を採用するし、「組織に刺激を与えたい」ならば「挑戦心や探究心が旺盛な学生」を採用する。

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