テスラ、最先端ロボット工場に行ってみた

ガソリン車メーカー工場との違いは歴然

徐々に完成車の姿に近づくと、顧客のオーダーに応じて、子供座席などのオプション品が付けられていく。ラインには、日本向けの右ハンドルの車も並べられていた。そして最終的に製品テストを実施。検査をパスした車は、社内のロジスティクスチームによって、全世界へと送り出されていく。1台に当たり生産にかかる日数は5日間。目下、高級セダンのモデルSの受注が活発で、「生産が追いつかない」とテスラ関係者は嬉しい悲鳴を上げる。

現在同工場では年間3.4万台の「モデルS」が生産されている

モデルSは日本円で800万円以上と高額ながら、ITを駆使した先端的な運転環境や加速度性能が人気で、生産台数を伸ばしている(2014年見通しは約3万4000台)。なぜ設立後わずか10年強のベンチャーが、目の肥えたドライバーをもとりこにする完成車を作れるのか。その最大の理由は工程の少なさにある。

 設備や人員を"持たない"強み

完成に近づいていく「モデルS」の車体

一般的にガソリン自動車に比べ、EVは部品点数の少なく、その分製造工程も少ない。実際、エンジンが1000点以上の部品から成るとされる一方、「テスラでは(モーターを含む)パワートレインの部分は17個の部品しかない」(テスラ担当者)と、差は歴然としている。

またテスラの場合、モデルSと、今年発売予定の高級SUV「モデルX」は約6割同じ部品を使うなど、効率化を徹底している。さらにEVは排出ガスがないため、工場に換気の施設が必要ないのも特徴。生産技術自体が、既存の自動車メーカーにとって高いハードルでないとしても、設備や従業員など抱えているものが多い従来の自動車メーカーほど「(設備や従業員の削減につながる)EV生産には踏み出しにくいのでは」(テスラ関係者)との声も聞こえる。

ただし、テスラならではの技術面の特徴もある。一つはロボットを動かす仕組みだ。「工場で使われているロボットは標準品なので誰にでも買える。ただ、それを動かすソフトウェアの作り込み、また工場内のどこにロボットを設置するか、などの点についてはわれわれが得意とする領域で、簡単に真似できるものではない」と、テスラの工場案内スタッフは話す。

またテスラはキーデバイスであるリチウムイオン電池について、1台あたり約7000本の小型電池をパナソニックから大量購入している。車載用の大型電池でなく、小型電池を使用するのは異例だが、どのメーカーでも使いこなせるわけでなく、「(テスラは)小型電池の制御技術では一日の長がある」(電池関連のアナリスト)と専門家の評価も高い。

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