トヨタ、700万円「FCV」で見据える未来

世界に先駆けて一般向けの販売を開始

12月15日から発売する燃料電池車「MIRAI」(撮影:梅谷秀司)

「課題はたくさんある。それでもまず一歩を踏み出そうと決断した」(加藤光久副社長)。トヨタ自動車は11月18日、燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を12月15日から723万円で販売すると発表した。

FCVは、車載タンクに充填した水素と空気中の酸素を化学反応させて発電し、モーターで走る電気自動車(EV)の一種。充電に時間がかかる、航続距離が短い、といった通常のEVの抱える弱点がない。走行時には温暖化の原因となる二酸化炭素や、大気汚染の元凶となる窒素酸化物を排出しないため、“究極のエコカー”とも称される。これまでリースや限定販売の実績は、ほかの自動車メーカーにもあるが、一般向け販売はトヨタが世界初となる。

発売を急いだ理由

かねてトヨタは発売時期について2015年としてきた。これを今年6月には、「14年度中(15年3月まで)」と計画を前倒し。結局、14年内の発売にこぎ着けた。対して、ホンダはトヨタの発表前日に、FCVの説明会を開催。ただしその内容は15年を目指してきた発売を、「(開発に)念には念を入れる」(ホンダの伊東孝紳社長)として、15年度内に後ろ倒しするというもの。

これで、ライバルで明暗が分かれトヨタが大きくリードした、といえるほど単純な話ではない。FCV普及に向けたハードルは多い。「一番乗りを目指していないと言うとウソになるが、少しでも早くFCVを出そうとしたのは、インフラ整備のため」。ミライの開発責任者である田中義和・製品企画本部主査が率直に答えるように、一番のハードルは水素ステーション(ST)などのインフラの拡充にある。

FCV用の水素を供給するためには、専用のST整備が不可欠だ。10年に、自動車メーカーと石油販売業者、経済産業省などが15年度内にFCVを投入し、STを日本全国100カ所整備する方針を打ち出した。が、今年7月時点でわずか13カ所、そのうち、商用STは1カ所だけだった。

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