
ぶれいでぃ・みかこ 1965年生まれ。福岡県立修猷館高校卒業。96年から英国ブライトン在住。英国で保育士として働きながらライター活動開始。2019年『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』でYahoo!ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞。近著に『他者の靴を履く──アナーキック・エンパシーのすすめ』など。(撮影:Shu Tomioka)
コロナ禍で格差拡大や階層分断への懸念が広がる中、日本でも他者への「共感」を深める動きがある。ただ、世代間やジェンダーのギャップはいまだ残っている。『他者の靴を履く』などの著書を通し、社会的マイノリティーの立場で発信する英国在住のブレイディみかこ氏が、日本社会に足りない他者理解の問題点について語った。
──新型コロナを機に「共感」がキーワードになっています。
「共感」に当たる英語には「エンパシー」と「シンパシー」がある。エンパシー(empathy)とは、自分とは異なる意見を持っている人や異なる境遇で育ってきた人の立場に立って想像し、理解する知的能力。英国では「他者の靴を履く」とも表現される。一方、シンパシー(sympathy)とは、同じような考えや境遇の人に対して抱く感情。両者は似ているがその意味はまったく異なる。
日本社会に欠けているのはエンパシーだ。職場では「来客には女性がお茶を入れるもの」と男性は新人の頃から刷り込まれ、女性の側も疑問に思わない。互いに「認知のバイアス」がかかるので男女の差を当然と思い、エンパシーを働かせにくい。それが、ジェンダーギャップが解消されない原因だ。
エンパシーのある職場は対話から始まる。形式だけの会議より、もっと日常の中で不満や困り事をぶつけ、対話することが必要だ。
──しかし、リモートワークが普及して対話の機会が減少しました。
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