
みずたに・てつや 1964年生まれ。90年北海道大学獣医学部卒業、94年同大学獣医学部大学院博士課程修了。国立感染症研究所主任研究官などを経て、2013年東京農工大学農学部附属国際家畜感染症防疫研究教育センター(現・感染症未来疫学研究センター)長、教授。専門はウイルス学。
新型コロナの変異ウイルス「オミクロン株」への警戒感が強まっている。WHO(世界保健機関)がオミクロン株をVOC(懸念すべき変異株)に指定したのは11月26日。はたしてデルタ株に代わって主流のウイルスになるのか。コロナウイルスを専門的に研究している東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センターの水谷哲也教授に聞いた。
──オミクロン株はなぜここまで警戒されているのですか。
デルタ株以降、“大物”の変異株はあまり出てこなかった。WHOがデルタ株をVOCとして指定したのは2021年4月。その後にラムダ株が6月、ミュー株が8月にVOCの前段階である「注目すべき変異株」に指定されたが、どちらもデルタ株の流行をしのぐことはなく消えていった。
オミクロン株はデルタ株に取って代わって拡大している地域があるようなので、久しぶりの“大物”になるかもしれない。その可能性の根拠として考えられるのは、ヒトの細胞に感染するときの足がかりになる「スパイクタンパク質」に起きている変異が、従来とは比べものにならないほど多いことだ。スパイクタンパク質はいくつものアミノ酸が連なって構成されている。ラムダ株であれば7カ所のアミノ酸に変異が起きているが、オミクロン株はそれが30カ所以上もあり、これまでVOCに指定されたどの変異株と比べても明らかに数が多い。そして、従来の変異株の悪いところを“総取り”したような特徴もある。
──悪いところ“総取り”とは。
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