有料会員限定

「未来のための持続可能性と人への投資を」 資本主義|日本総合研究所理事長 翁 百合

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
おきな・ゆり  NIRA総合研究開発機構理事。京都大学博士(経済学)。金融庁金融審議会委員、財務省財政制度等審議会委員、経済産業省産業構造審議会委員、内閣府「選択する未来2.0」懇談会座長。「新しい資本主義実現会議」有識者メンバー。(撮影:尾形文繁)

特集「2022年大予測」の他の記事を読む

世界的に環境破壊、格差拡大が問題視され、資本主義の行き詰まりが指摘されている。資本市場、金融問題を専門とし、岸田文雄首相の「新しい資本主義実現会議」の有識者メンバーでもある翁百合・日本総合研究所理事長に、日本が目指すべき資本主義について、話を聞いた。

──今は資本主義の修正が世界的な議論になっています。一方で、日本の潜在成長率の低下は顕著です。翁さんが考える「日本が目指すべき新しい資本主義」についてお話しください。

重要だと思うことは大きく2つある。1つはサステイナビリティー。持続可能性はあらゆる企業経営に求められており、未来世代を考える必要がある。環境に配慮した研究開発投資をするなど、短期志向ではなく社会的課題解決に貢献しつつ企業価値の持続的向上を目指すべきだ。

もう1つは人的資本で、人への投資。産業資本の時代はものづくりが重要で工場や設備など有形資産への投資が必要だった。だが、今は無形資産が重要だ。データやソフトウェア、ノウハウや知的財産はすべて無形資産であり、これからはそれらによる勝負になる。日本は生産年齢人口がますます減っていくので、人々が能力を発揮できる社会にすることが大切だ。一律な教育・投資ではなく、それぞれの人に必要な投資を強化して、付加価値を高め持続的成長を実現しないといけない。

──コロナ禍の下で、欧米では失業手当を厚くしました。しかし、日本では企業を支援、存続させることで雇用を維持しました。終身雇用の発想で、生産性の低い企業も守られる。労働移動を前提にすることに根強い反対があります。

関連記事
トピックボードAD