──今は資本主義の修正が世界的な議論になっています。一方で、日本の潜在成長率の低下は顕著です。翁さんが考える「日本が目指すべき新しい資本主義」についてお話しください。
重要だと思うことは大きく2つある。1つはサステイナビリティー。持続可能性はあらゆる企業経営に求められており、未来世代を考える必要がある。環境に配慮した研究開発投資をするなど、短期志向ではなく社会的課題解決に貢献しつつ企業価値の持続的向上を目指すべきだ。
もう1つは人的資本で、人への投資。産業資本の時代はものづくりが重要で工場や設備など有形資産への投資が必要だった。だが、今は無形資産が重要だ。データやソフトウェア、ノウハウや知的財産はすべて無形資産であり、これからはそれらによる勝負になる。日本は生産年齢人口がますます減っていくので、人々が能力を発揮できる社会にすることが大切だ。一律な教育・投資ではなく、それぞれの人に必要な投資を強化して、付加価値を高め持続的成長を実現しないといけない。
──コロナ禍の下で、欧米では失業手当を厚くしました。しかし、日本では企業を支援、存続させることで雇用を維持しました。終身雇用の発想で、生産性の低い企業も守られる。労働移動を前提にすることに根強い反対があります。
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