ソニー、「脅しに屈する選択肢はなかった」 平井社長、サイバー攻撃の背景を語る
本件による業績への影響は軽微との認識も強調しているが、一方で映画が話題になったことで、むしろ大きな利益になっているのではという噂もある。そもそも、こうした一連の騒動は大きな宣伝効果をもたらしており、いわゆる"ステルスマーケティング(ステマ)"のようなものではないか、とのうがった見方もある。しかし、平井社長は明確に否定した。
三千数百館で公開される予定だった映画が200館あまりでしか公開されていないため、その影響は非常に大きい。また、サイバー攻撃そのものによる業務上の損失、社員への攻撃による損失は精査しなければわからない。SPEの業績がひっくり返すほどではないが、それなりの影響がある。
事件発覚後にセキュリティ対策を実施
発覚後にどのような対策を行ったかについても言及した。
SPEの社員、元社員の個人情報が公開されたことに関するケアを、行った。事件後、FBIがカルバーシティのSPEに常駐しているが、常駐するFBIのサイバーセキュリティ対策チームは、SPE社員に対して個人情報をどう守るか、漏れた個人情報に対してどう対応していくべきかといった情報セキュリティセミナーを行っている。
さらに、盗まれた個人情報悪用による損失をカバーする保険への加入料を会社が負担するプログラムもつくり、実際に運用を開始しているという。
一方、今回の攻撃で明らかになったセキュリティ上の問題について、すでにシステム上のセキュリティ対策は打っているという。FBIの捜査によって明らかになった、これまでにない新しく巧妙な手口に対応可能な手段はすでに講じられている。ただし、詳細な対応策については安全上の問題で公開していない。
もっとも今回の手口は、FBIいわく「9割以上の米企業が侵入を許しただろう」というほどのものだ。言い換えれば、本ケースの規模での攻撃を受ければ、ほとんどの企業は対抗手段を持っていないことを意味している。年末のコラムでも記したように、コンピュータシステムは、侵入され、情報が持ち出され、悪意をもって扱われる可能性が常に存在する。そのことを前提に、情報システムを運用すべきなのかもしれない。
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