ソニー、「脅しに屈する選択肢はなかった」 平井社長、サイバー攻撃の背景を語る

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そうした中で12月18日、SPEは12月25日に予定されていた劇場公開を諦めなければならないと発表。これを受けて、オバマ大統領が「ソニーは過ちを犯した」と話し、犯罪者の脅しに屈するべきではないと主張した。これを受けて、映画公開をしないと判断したソニーへの批判が集まった。その中には、日本の本社が(表には出てこずに)裏で、誤った判断を押しつけたのだ、とする記事も少なくなかった。

しかし、SPEが発表したプレスリリースには、12月25日の公開を諦めざるを得なくなったとは書かれているものの、作品を世の中に出すことを諦めたとは書かれていない。平井社長は「一部に誤解があった」と話す。

「予定通り公開できなくなった理由は、米4大メジャー映画チェーンが、テロの予告を受け、観客の安全確保のため公開見送りを決定したため。公開中止は、映画館側が判断した」

大手映画館の公開中止決定を受け、ソニー側は対応を検討。結果的には24日にオンライン配信、25日に独立系映画館での公開という順番で、映画を公開できる準備が整っていった。

こうした時系列もあり、「いったんソニーが脅しに屈した後、米政府や世論に押されてネット配信を行うことを決めた」という印象が植え付けている。しかし、ソニー社内での議論において、映画公開を諦める選択肢はなかったいう。

「外圧があるからといって、映画作品を公開しないという判断、脅しに対して屈するという選択肢はなかった。25日の全米公開をあきらめるという発表をした後も、観客の安全を確保しながら、広く公開する方法はないか、関係者で議論していた。最終的に公開可能と発表したのは、その確認が取れたからだ」

「全米企業のシステムの9割以上に侵入可能な攻撃」

ソニーに関しては、プレイステーションネットワーク(PSN)への侵入を許した過去があり、今回のニュースが流れた際にも「またか」との声も漏れた。「コンピュータセキュリティの重要性をソニーは学んでいないのではないか」というわけだ。

この点について平井社長は次のように説明した。

「具体的な方法は言及できないものの、FBIから”本件と同様の手法、規模での攻撃が行われた場合、全米企業の9割以上が侵入を許すだろう”との分析結果を受け取った」

実際、新しい攻撃手法の発見ということで、FBIから注意喚起のステートメントが出ており、PSNのクラッキングとは次元の異なるものだった。

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