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鉄鋼が挑む脱炭素の壁 CO2大量排出産業の宿命

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日本のCO2排出量の約14%を占める鉄鋼業界。技術革新で排出削減を図るが、越えるべきハードルは高い。

脱炭素社会を実現するには産業界の協力が欠かせない。とくに重要なのが日本の二酸化炭素(CO2)排出量の14%を占める鉄鋼業である。

なぜ鉄鋼業のCO2排出量は多いのか。天然資源である鉄鉱石は酸化鉄なので、「鉄」を造るには酸素を取り除く(還元する)必要がある。現在、製鉄の世界的な主流は、石炭と鉄鉱石を溶融させて鉄を造る高炉法。高温で炭素(C)と酸素(O)が結び付きやすくなる性質を利用するため、大量のCO2が発生してしまうのだ。

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ゼロ実現はまだ見えず

脱炭素鉄=ゼロカーボン・スチールを実現するには、まったく新しい製鉄プロセスの開発が必要になる。最有力視されているのが「水素還元法」だ。実現できれば発生するのはH2O=水になる。

だが、理論上可能なことと実現できることとは別問題。商用化できるだけの安定した水素還元の実現、還元以外の工程の脱炭素化、莫大な量の水素の供給体制の確立、既存設備を置き換える費用、エンジニアリング能力など、課題は山のようにある。

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