有料会員限定

「石油の世紀」から「創造的破壊の世紀」へ 脱炭素キーパーソンに聞く1|IHSマークイット副会長 ダニエル・ヤーギン

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小

新型コロナショックで激変した世界のエネルギー情勢。これから先、どのような未来が待ち構えるのか。「石油の世紀」は終焉に向かうのか。エネルギー問題の世界的権威であるダニエル・ヤーギン氏(英IHSマークイット社副会長)に聞いた。

ヤーギン氏は、気候変動対策の強化や米中対立の激化に伴うディスラプション(既存秩序の創造的破壊)とサプライチェーンの断絶に備えることの重要性を強調。また、エネルギーの多様化を長年追求してきた日本は、新技術の開発と再生可能エネルギーの推進で重要な役割を果たせると説く。

(注)本インタビューは週刊東洋経済8月1日号の38ページ掲載インタビューの拡大版です。

石油需要が元に戻るのに2~3年

──新型コロナのパンデミックが世界のエネルギー需要と価格に与える影響を歴史的な見地からどう見ますか。

Daniel Yergin 1947年生まれ。米エール大学卒、英ケンブリッジ大学で博士号取得。エネルギー問題の権威として米エネルギー省長官の諮問委員会委員などを歴任。現在、英大手情報会社のIHSマークイット副会長。著書に『石油の世紀──支配者たちの興亡』(1992年にピューリッツァー賞受賞)、『探求──エネルギーの世紀』など。

過去にも需給バランスの崩れによる石油・天然ガス価格の急落はあった。だが、今年4~5月に起こったような価格の崩落はかつてなかったことだ。それは、パンデミックによって政府が経済活動の大半をシャットダウンし、自宅待機を指示したことの結果であった。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
脱炭素 待ったなし
脱炭素キーパーソンに聞く1|IHSマークイット副会長 ダニエル・ヤーギン
グリーンリカバリーに向け世界が動く
不況対策に内燃機関車への補助金はない
再エネ大量導入や森林破壊ゼロへ動き出す
脱炭素キーパーソンに聞く2|丸紅 電力・インフラグループCEO 横田善明
CO2大量排出産業の宿命
再エネ店舗は普及するか
脱炭素 待ったなし
出遅れ日本でもエネルギーシフトが本格化
日本エネルギー経済研究所 専務理事・首席研究員 小山 堅
コロナ禍と原油価格急落で経済が苦境に
独仏はEV購入に100万円以上補助
「非効率石炭」退場の衝撃
Part2 脱炭素化への奮闘|重い腰を上げた日本政府
Part3 前進する再エネ|ついに日本も導入目標を策定
脱炭素の切り札となりうるか
脱炭素キーパーソンに聞く3|国際大学大学院教授 橘川武郎
強靱で環境性に優れたエネルギー
脱炭素キーパーソンに聞く4|東京電力リニューアブルパワー社長 文挾誠一
脱炭素キーパーソンに聞く5|日本経済団体連合会会長 中西宏明
石油・ガス企業の瀬戸際
Part1 石油の終焉|世界で相次ぐ巨額損失と破綻
インタビュー/MHIヴェスタス アジア太平洋地域リージョナルマネジャー 山田正人
欧州が野心的な水素戦略に着手した
「CO2削減の目標を出すべく議論している」
日本製鉄・鈴木英夫常務に聞く
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内