CO2排出を抑制しつつ、コロナ禍から経済を復興させる戦略でリードするEU諸国やカナダ。救済の条件として、企業に地球温暖化抑止の取り組みなどを要求している。
世界各国でロックダウン(都市封鎖)が実施され、数千万の人々が仕事を失った。新型コロナウイルスは世界経済に深刻な打撃を与えている。そうした未曾有の事態から経済を復興させる手だてとして、「グリーンリカバリー」が欧州を中心に提唱され、すでに一部の国で実行に移されている。これは、地球温暖化対策の国際協定であるパリ協定や、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の道筋に沿って環境を重視し、よりよい社会を目指そう、という取り組みにほかならない。
コロナ禍克服のための世界各国の経済刺激策に関する情報を収集している英国の独立研究機関Vivid Economicsによると、主要国の経済刺激策は総額11.4兆ドルに上り、そのうち約30%の3.5兆ドルがグリーン、すなわち環境を重視したものと評価されている。中でも欧州委員会の経済刺激策「次世代EU」は、ほぼすべての予算項目がグリーンであると見なされている。
「次世代EU」とは、5月27日に欧州委員会が2021~27年の次期中期予算の一環として提案した、コロナ禍で打撃を受けた欧州連合(EU)加盟国への支援のための7500億ユーロ(約90兆円)に上る復興基金のことである。19年12月に発表されたEUの成長戦略「欧州グリーンディール」に基づき、「経済復興のための公共投資は、『環境に害を及ぼさない』原則に従う」と明記されている。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら