コロナ禍と気候変動対策による構造変化が経営の土台を揺さぶる。
「新型コロナのパンデミックが経済に永続的な影響を与えることが、ますます現実味を帯びてきた」。国際石油メジャーの一角である英BPのバーナード・ルーニーCEO(最高経営責任者)は6月15日、最大175億ドル(約1.9兆円)に上る減損損失計上を発表する声明でそう述べた。
同CEOは就任直後の2月半ば、ライバルに先駆け、2050年までに温室効果ガス排出量「ネットゼロ」を達成すると宣言。そのための戦略や前提となる石油・ガス価格の見直しを検討していた。その矢先にパンデミックが勃発。これがエネルギー需要を長期にわたって抑制する一方、パリ協定に沿った経済復興を通じて脱炭素化を加速する可能性も高いと判断し、改めて価格前提を見直したのだ。
具体的には、21年から50年までの原油価格(北海ブレント)を従来の1バレル当たり平均70ドルから55ドルへ、天然ガス価格(米ヘンリーハブ)を100万英国熱量単位当たり平均4ドルから2.9ドルへ下方修正した。それを基に資産を再評価した結果が、自己資本の約2割にも相当する巨額減損だ。対象には生産設備などの有形資産と、採掘権などの無形資産が、ほぼ半々で含まれる。いわゆる「座礁資産」の発生である。
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