地銀の「戦国時代」がいよいよ始まる

上場地銀は1年以内に半減も?

藤野 地方銀行って、大手証券会社に勤務していた人が、投資信託の銀行窓口販売の最前線に立っていたりするのですよ。そういう銀行は、ほぼ間違いなく投資信託の回転売買を行って、手数料収入を上げています。で、それを見た銀行の偉い人たちは、銀行はえぬきの人たちに、その営業スタイルを見習えと言ってしまう。

本当は、投資信託の販売手法として、回転売買は褒められたものではないのですが、やはり上層部は数字が欲しいわけです。だから、こんな倒錯した販売方法がまかり通ってしまう。

中野 地方銀行などの地域金融機関って、地元経済にどれだけ貢献するかという点が問われると思うのですが、いろいろ話を聞いていると、逆に憎まれている銀行さえあります。

実は日本の地銀は恵まれている?

藤野 以前、ひふみ投信を扱ってもらおうと思って、ある地方銀行に行ったのですが、そこの担当者がすごい人だったのですよ。

渋澤 すごいというのは?

藤野 その担当者は、私に向かってこう言ったのです。「藤野さんの運用成績が立派であることは分かっています。でも、お客さんに喜んでもらっても何の意味もないのですよ」ってね。正直、私は意味が分からなくて、目をパチクリしてしまいました。

中野 ということは、銀行に喜んでもらえるような、購入時手数料の高い投資信託を提供してくれっていうことですか?

藤野 そう思うでしょ。ちょっと違うんだな~、これが。その担当者は続けてこう言ったのです。「でも、当行を喜ばせてもダメですよ」。

渋澤 ますます意味が分からない。

藤野 でね、ふと気が付くとゴルフのスイングをしながら、「私と何回いくか、です」って。

中野それ、もう何年も前の話でしょ。

藤野 いえいえ。今から1年前の話です。接待漬けの構図そのものですよ。

渋澤 でも、日本の地域金融機関って、世界でも恵まれた立ち位置にいるのは事実です。日本の家計が保有する現預金は2014年9月現在で870兆円。これに対して米国の家計が保有する現預金は9.02兆ドルで同月現在の為替レートが107円ぐらいだったので、約965兆円になります。

米国は日本と比べて、人口が約2倍、年間GDPが約3倍、そして、家計の金融資産が4倍以上ですから、いかに日本人が「おカネ(現金)持ち」であることがわかります。そして、このおカネは日本全国の家計に散らばっている。おカネは資源であると考えれば、地方の金融機関の手の平には、新たな成長の可能性が乗っていると考えても良いでしょう。

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