プロ野球の「トライアウト」にモノ申す! 漫画『グラゼニ』作者と元選手が語る内情
司会 バッターも最後の打席で、四球や死球(デッドボール)はつらいですよね。
高森 僕の最終打席の時に「野球人生最後かな」と思って打席に入ったら、いきなりスリーボールですよ。最後に四球はいやだって、次はファウルにして、4球目に野球人生最高の当たり。よしって思ったら向かい風で普通のライトフライでしたけどね。
雨だと守備のアピールができない
司会 去年、草薙球場で雨が降ってきて室内でやることになり、かわいそうで。守備のアピールができない。キャッチャーだって肩をアピールできない。
高森 打者はカーンと打ってよし、ホームランだな、投手はやられたって時にファインプレーとかあると、微妙な空気なんですよね。第2回になると、選手が少なくなるので、守備とかに球団職員が入って簡単なファウルフライをエラーした。バッターは打ち取られているわけだし「いいの?」って。投手は「ファウル、だよな、もう1回か」って。その後ヒット打って、ピッチャーに「ごめん、ごめん」って。微妙な感じです。
司会 フェンス際のキャッチャーフライでも、ものすごく追いかけて。見ている人は「ファウルにしてやれよ」って思うけど、キャッチャーもアピールするぞって、その狭間の空気がね。
高森 審判に聞いたことがあるんですよ。審判も辛いでしょって。そしたら「辛いよ。俺の判定でどっちかに転ぶから」と言っていましたね。
司会 同じ球団同士の対戦もありますか?
高森 あります。僕がホームランを打った時に、ピッチャーもキャッチャーも元チームメート。周りから「お前ら内輪で何やってんだよ」って。
オグマ 2回目のトライアウトは平日にもかかわらずすごいお客さん。ファンの注目度も増していると感じますね。
森高 1回ないし2回こっきりの勝負で、トライアウトが合理的な方法なのかって思いましたね。エンターテインメントとして見るのはいいけど、選手の実力が本当に測れるのか、素人目には考えちゃいました。野球は「率」のスポーツなんだから、それこそリーグ戦でやるとか、制度として熟成していけばいいと思う。
高森 すごく難しいのは、観客もどっちを応援したらいいのかわからない。カーンって打つと「よかったね、でもピッチャーはねぇ。よし、どっちも頑張れ」って、誰が出てきても拍手する。いい雰囲気なんですよ。僕は、最後にいいところでやらせてもらっているなあって思いましたね。
(撮影:尾形 文繁)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら