ギリシャ再び政局混迷、金融市場への影響は? 第一生命経済研究所・田中理氏に聞く

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たなか・おさむ●第一生命経済研究所 主席エコノミスト。慶應義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券、クレディ・スイス証券を経て、2009年11月より第一生命経済研究所。12年1月より現職。 担当は欧米経済。(撮影:梅谷秀司)

ただ、SYRIZAがそのまま政権を奪取するかどうかは不透明だ。いくつか流動的な要素がある。

今年の春以降、SYRIZAの支持率がNDを大きくリードしてきたが、ギリシャの政局不安が表面化した以降に行われた最近の調査では、SYRIZAのリードがやや縮小している。SYRIZAが政権を取った場合に金融市場に混乱が広がることや支援協議が難航する可能性に、ギリシャ国民の一部が不安を感じ始めているためだ。

また、NDと連立与党を組んでいる全ギリシャ社会主義運動(PASOK)に動きがある。

PASOKは債務危機の発生当時に政権を担う第一党だったが、危機発生後に厳しい緊縮政策を採用して支持基盤である労働組合などの反発を買ってしまった。そのPASOKの中道左派票を取り込むことで、近年、党勢を大きく拡大してきたのがSYRIZAだった。

だが、ここへきて元首相であるパパンドレウ氏が離党して新党を立ち上げる方針を示している。新党が中道左派票の新たな受け皿となるか、さらにSYRIZAに票が流れるかによって、選挙結果が異なってくる。

不安定な政局が長引き、デフォルト懸念は燻る

――選挙後の金融市場への影響が懸念されますね。

ある程度の混乱は避けられない。SYRIZAは公的債務の追加減免を要求するとしているし、緊縮財政を緩めて、弱者へのバラマキ拡大を復活するとしており、トロイカとの意見の隔たりは大きい。

EUによるギリシャ支援プログラムは当初14年12月末に終了する予定だったが、ギリシャの不安定な政治情勢に配慮し、15年2月まで2カ月延期されることが決まった。だが、ギリシャが市場での国債発行を再開するのは困難で、支援プログラムの終了後も融資枠の設定など部分的な支援が必要とみられている。政権発足は最短で15年2月初旬。支援プログラムが終了する2月末までに部分支援の開始に必要な緊縮策で合意できるかは微妙なところだ。支援打ち切りによる債務不履行(デフォルト)懸念が燻り続けよう。

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