これが新日本プロレス、闘魂の復活劇だ! 1.4東京ドーム決戦は通過点にすぎない
しかし、2000年代になると風向きが変わる。「K-1」や「PRIDE」といった格闘技が一大ブームを巻き起こしたのだ。
「人の殴り合いって凄惨なモノ。血が出るし、顔の形も変わる。それを徹底的にメディアに露出して、その選手の背景までパッケージにしたのがK-1やPRIDE。試合も引き立って、魅力的だった」(新日本プロレスの手塚要社長)
一方、当時の新日本のメディア戦略は能動的ではなく、あくまで受け身だった。テレビ朝日系列で「ワールドプロレスリング」という番組が放映されるほか、「週刊プロレス」などの紙媒体でも試合内容が伝えられた。自ら発信しなくても、どこかが報じてくれる状態が続いてきたわけだ。結果、既存のプロレスファン“以外”への訴求力は乏しく、人気は一気に衰退した。
"会社"として生まれ変わる
そうした中で、1つの転換点が訪れる。2005年にオンラインゲーム会社のユークスが新日本を買収したのだ。「ユークスという上場企業の傘下に入って、経理回りなどがしっかりした。その結果、新日本という団体が“会社”として生まれ変わることができた」(手塚社長)。
会社としての礎を築くと同時に、経営が厳しい中でも新人選手の発掘を継続的に行ってきた。新日本の主要タイトルの1つであるIWGPインターコンチネンタル現王者の中邑真輔、昨年12月に開催されたタッグリーグ戦を制した後藤洋央紀、IWGPジュニアヘビー級王者の田口隆祐らは全員2002年入団の同期だ。苦しい時代に新日本の門をくぐり、もがき苦しんだ選手が今のリングを支えている。
現在、積極的に取り組んでいるのは、試合を見てもらう機会を増やすこと。従来のようなテレビ観戦や会場に直接行くという手段だけでなく、ニコニコ動画などインターネットでの動画配信を始めている。昨年12月からはテレビ朝日と組み、見放題の動画配信サービスをスタート。開始3週間で会員登録が1万人を突破するなど、出足は順調だ。
たとえば、最近、棚橋選手のファンになった人でも、動画サービスを通じて、デビュー当時や若かりし頃の映像を見ることができる。こうしたアーカイブ的な楽しみ方もできる点が売りの1つだ。
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